「俎上」とは?意味や使い方をご紹介

「俎上」という熟語は普段の生活ではあまり見ないでしょう。意味どころか読み方すらわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。ヒントはとある調理用具です。今回は「俎上」について正しい読み方はもちろん、意味や使い方、英語表現などを紹介します。

目次

  1. 「俎上」の読み方
  2. 「俎上」の意味
  3. 「俎上」の使い方
  4. 「俎上」の例文
  5. 「俎上」の英訳

「俎上」の読み方

「俎上」は「そじょう」と読みます。アクセントは「そじょう」です。「訴状」や「遡上」と同じ発音なので発音しやすいですね。

「俎上」の意味

「俎上」とはまな板の上のことです。包丁で切る際に食材をまな板に乗せますよね。この、食材がまな板に乗っている状態が「俎上」です。

「俎」はお肉が台に乗った様子を表した字です。そこからまな板の意味で使われるようになりました。今でもまな板は漢字で「俎板」と書きます。

「俎上」の使い方

「俎上」は単独では使われず、もっぱらことわざ、慣用句の一部として使われます。いくつか例を挙げてみましょう。

俎上にのせる

「俎上にのせる」とは議論のテーマとして取り上げるという意味です。議題にして話し合う、問題視するといった意味で使います。議論を料理に、議題を食材にたとえているわけですね。

単なる批評や噂話の意味でも使われますが、多様な観点で話し合うという意味合いの強い言葉です。複数の人によってさまざまな観点から話し合うためのテーマにする、と捉えた方が良いでしょう。

なお、テーマとして取り上げられるものについての制限・条件はありません。「俎上にのる」「俎上にあがる」「俎上にあげる」などとも言いますが、どれも同じ意味です。

俎上の魚

「俎上の魚」とはなす術がない、相手に任せるという意味です。「俎上」がまな板なので、直訳するとまな板の上の魚。

まな板に載せられた魚はもう捌かれて料理になるだけです。そこから、自力ではどうしようもないので、相手や運命に身をゆだねるという意味で使われています。

元々は中国語の「俎上の肉」という言葉から作り出された表現です。「俎上の鯉」「俎上の鮎」「まな板の鯉」などとも言います。

俎上の魚、江海に移る

「俎上の魚、江海に移る」とは、危機を逃れて安全なところに移ることのたとえです。まな板に乗せられるということは、魚に取っては命の危機、非常に危険な状況です。

一方「江海」は大河と海のことですから、魚にとっては本来の居場所。敵はいるかもしれませんが、少なくともまな板の上よりは安全でしょう。そのため、危機を逃れるという意味で使われています。

「俎上」の例文

  • パワハラを会議の俎上にあげるというが、古い考えの上層部が本気で取り組むとは考えにくい。
  • どうやら近所の主婦たちの間では僕の言動や立ち振る舞いが俎上に上がっているようだ。
  • 俎上の魚のようにじっとしていて、されるがままになっていた。
  • いつかはこうなるとは思っていたけれど、いざその時が来るとたえられない。私は俎上の魚だった。
  • パワハラを逃れて退職した私のことを友人たちは、俎上の魚江海に移ると評した。

「俎上」の英訳

まな板の上

「俎上」の本来の意味、つまりまな板の上を英語に訳してみましょう。まな板は英語で「cutting board」や「chopping block」といいます。

接触した形で上にのせる場合には前置詞の「on」を使います。よって、「on the cutting board」「on the chopping block」となります。

議題にする

慣用句の「俎上にのせる」を英訳してみましょう。この場合は、「~を議題に話し合う」や「~について議論する」と捉えると英語で表しやすいです。議題は「agenda」や「subject」、「topic」で表します。

例えば、「make the topic of conversation」と表せます。「conversation」は会話や会談です。会話の話題にするという意味です。

あるいは、「take up a matter for discussion」でもOKです。「discussion」はそのままディスカッション、「matter」は内容や題です。議論の内容にする、といったところでしょうか。

逃げ場がない

「俎上の魚」の英訳は「no escape」を使います。「escape」はエスケープ、逃亡や脱出です。それがないので、逃げ場がないということですね。「no escape for me」のような形で使います。

その他に「dead-end」も使えそうです。ハッピーエンドの反対ではなく、出口がないことです。同じ意味の「no way out」、絶体絶命を意味する「desperate」も状況によっては使えるかもしれません。


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