「天命」とは?意味や使い方をご紹介

「天命」というと「人事を尽くして天命を待つ」という言葉を思いつくかもしれません。しかし、単語を単体で使う場合、具体的な意味が思い浮かべられるでしょうか。言葉の意味や使い方を通じて、詳しく説明します。孔子の言葉の解釈についても紹介します。

目次

  1. 「天命」の由来と元々の意味
  2. 「天命」の意味
  3. 「天命」孔子はどのような意味でとらえたか?

「天命」の由来と元々の意味

「天命」は古代中国の思想に基づく言葉です。元々は「天帝から与えられた命令」という意味で、人間への使命運命を表しています。

天帝とは、中国で考えられている天上の最高神です。 天地や宇宙などの自然界の万物を支配する神で、あらゆる物を造った創造主という意味合いに取れるでしょう。

思想としての「天命」

天命は、天帝からこの世に生まれた人に課された宿題のようなものです。一生をかけてやり遂げなくてはいけないことやその人の生涯を指しています。

天帝にやるべきことを命じられたため、その人が生まれる原因になったという考え方もできるでしょう。

古代の中国では天子(国王)を「天帝の長男」と考えていました。天帝が長男に「自分の代わりに国を統治するように」と命令をして地上に生まれさせたということです。

「天命」の意味

天命の意味は以下の5種類で、元々の意味に近い「人に与えられた使命」・「運命」だけでなく、派生したものもあります。

  1. 人に与えられた使命
  2. 運命
  3. 寿命
  4. 天罰
  5. 勅命

1.人に与えられた使命

天命の意味1は「天命」の原義に近く、「天から人に与えられた使命」・「生きていく上で神仏から命じられた重大な任務」を言います。

日本では天帝という考え方が根付いていないため、神様や仏様のような存在から命令されたと考えると分かりやすいでしょう。ただ、与えられた使命といっても、何を命じられているのか分からない場合がほとんどです。

生きている人それぞれが、克服するのが難しい問題を抱えています。困難な問題を必死で解決したり、解決が難しくても折り合いをつけたりして人として成長していきます。

元々持った個性や才能と成長する上で身に付けた知識や経験を活かして、他の人のために役立つ行動をするのが天から命じられた使命なのかもしれません。

【使用例】

  • 今の心境は「人事を尽くして天命を待つ」です。
  • 目立たなくてもやりがいがあるので、現在の仕事は天命なのかもしれない。

2.運命

天命の意味2も元々の意味に近く、人の一生を天から授かった物として考える所からきています。

天から決められた運命」・「生まれる前の世界から元々定められている宿命」という意味です。その人が生きる一生が、神仏の存在や前世の因縁によってある程度定められていることを表しています。

【使用例】

  • 革命を起こして失敗したのも、天命なのかもしれないね。

3.寿命

「天命」に「運命」の意味があることから、個人がどのくらい生きるかも定められていると考えられるようになり、「寿命」という意味が派生しました。

神仏から決められた寿命」・「天寿(あらかじめ決まっている寿命)」の意味でも使われています。

【使用例】

  • 95歳で大往生か。本人はもっと生きたかっただろうが、天命を全うしたな。

4.天罰

「天罰」としての「天命」も派生した意味です。一生が決まっていることから、人の道に外れることをしたり、使命を守らなかったりすると天から罰が下るということになりました。「天罰が下る」・「因果が巡る(悪行の報いが来る)」といった意味合いです。

【使用例】

  • 賽銭泥棒なんてするから、天命が下ったんだよ。

5.勅命

天の命令や神仏の加護で王や天子などの高い位に就いたこと、「命」という漢字には命令の意味もあることから、「天命」は王や天子の命令も表します。

現代ではあまり用いられませんが、日本なら「天皇陛下からの命令」・「勅命(国家の機関を経由しないで天皇陛下が直接命令する)」といったところでしょう。

【使用例】

  • 天命で様々な国選和歌集が作られた。

「天命」孔子はどのような意味でとらえたか?

中国の思想家の孔子は、『論語』に「五十而知天命」という文章を残しています。これを日本語に読み下すと「五十にして天命を知る」です。耳にしたことがある方もいるかもしれませんね。

古来の中国では天命が「使命」か「運命」の意味でした。使命という意味で使ったのであれば、「五十歳になって自分の使命を知ったので、やり遂げなくてはいけない」ということでしょう。

運命なら「五十歳になって自分の運命を悟ったので、決められている以上のことはできない」と読めますね。

どちらの意味で文章を書いたのかによって、孔子の考え方や伝えたいことに違いが出ます。後に読んだ人に解釈の仕方を任せたのかもしれませんが、いまだに見解が分かれていて結論が出ていません。


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