「前述」とは?
「前述」とは、読んで字のごとく、前に述べたこと、また、その部分のことを意味します。「述べる」とは、書き記す、言い表すことを指します。
論文やレポート、ビジネスレター、格式ある手紙など、あらたまった文章の中で用いられる言葉です。
「前述」の使い方
友人間での手紙などとは異なり、論文やレポートなどのあらたまった文書においては、いかに簡潔に分かりやすく内容を伝えるかが問われます。そのような意味で、便利なのが「前述」という言葉です。
文章構成上、前に述べたことを用いて、あらたな論を展開していく時などに、もう一度同じ文章を書き連ねることは、冗長となります。重複を避けるため、「前述にあるように」「前述しましたとおり」などと書くことで、簡潔に論を進めることができます。
ちなみに、「前述で記したように」「前述で述べたごとく」などの、「述」の二重表現とならないように、注意が必要です。
「前述」の例文
レポートの一部分というかたちで、どのように「前述」を用いるかの例を挙げてみましょう。
「叙情詩」とは、書き手の心情、思い、感動などを軸として書かれた詩を指す。
「叙景詩」とは、風景や自然のさまを、写生的に言葉で表現する詩のことだ。
「叙事詩」とは、歴史上の人物や出来事などについてを、物語のように書き綴るものだ。
「叙情詩」の例として、下記に一篇の詩を挙げてみる。前述の内容に添い、どの部分によって叙事詩として分類できるのかを、考察していく。
「前述」の類語
- 前出:文章で前に示されている、ということ。「前述」は、記述内容の範囲が広い場合でも用いられるが、「前出」は、一般的に、人物や要件など、絞られた対象について用いられる。(文例:前出の登場人物ルイスについて、ここでもう一度キャラクターの確認をしてみましょう)
- 先述:先に述べたものを意味する。(文例:先述の叙情詩の例として、日本で古くから愛されている詩を紹介しましょう)
- 上述:すでに述べたものを意味する。この言葉は、「上」が用いられているため、縦書きではなく、横書きの文章においてのみ使うことが可能。(文例:上述のギリシャ神話について、もう少し詳しく解説していきます)
- 既出:すでに登場していることを意味する。(文例:叙事詩でもっとも有名なもののひとつが、既出の『バガヴァッド・ギーター』である)
「前述」の対義語
「前述」の対義語は、「後述」です。意味は、これも読んで字のごとく「後で述べること」です。もっとも一般的な使い方は、論の要旨、もしくは結論を書き述べ、「詳細は後述します」などとする構成です。
レポートの一部というかたちで、「後述」の使い方を示します。
オリンピックの起源は、古代ギリシャに遡ります。「オリンピア祭典競技」として、いわゆる古代オリンピックが始まったのは、紀元前9世紀ごろとされています。
近代オリンピックは、1896年に始まりましたが、そのスタートの詳細は、後述いたします。
「前述」まとめ
「前述」や、数ある類語、そして対義語「後述」。これらの言葉をうまく使いこなすことによって、簡潔に構成された分かりやすい論文やレポートを書くことが可能です。
もちろん、内容がもっとも大切ですが、その価値をさらに高めるのは、文章の構成力です。今回紹介させて頂いた言葉を上手に用いて、論文の名手を目指しませんか?