「鬼籍」とは?意味や使い方をご紹介

「鬼籍」とは死者の情報が書かれた帳面ですが、伝承のなかで閻魔大王が持っている死者の評価が書かれた書類のことでもあります。日常会話では「鬼籍に入る」という慣用句くらいでしか使われません。今回は「鬼籍」の意味や使い方、類義語などをご紹介します。

目次

  1. 「鬼籍」の読み方
  2. 「鬼籍」の意味
  3. 「鬼籍」の成り立ち
  4. 「鬼籍」の使い方
  5. 鬼籍に入る
  6. 「鬼籍」の類義語

「鬼籍」の読み方

「鬼籍」は「きせき」と読みます。アクセントは後半の「せき」にあります。「軌跡」や「輝石」などと同じ発音です。

「鬼籍」の意味

「鬼籍」とは死者の情報が書かれた帳面です。亡くなった人の名前や死亡年月日、戒名などが記されています。

故人の記録を残しておく帳簿

「鬼籍」は仏教用語です。お寺のお坊さんが、葬儀を行った檀家さんのことを書き留めておく台帳やデータベースのようなもので、命日の確認などのために使われます。

お寺で管理されているものもありますが、それぞれの家に保管されることもあります。

閻魔大王が持っている書類

「鬼籍」はお坊さんや遺族だけが持っているものではありません。伝承によると、死後に裁判を行う閻魔大王(えんまだいおう)も持っているとされています。裁判の参考資料として使われるのでしょうか。

この書類には故人の情報だけでなく、まだ生きている者の情報も記載されています。そこには寿命さえも載っており、死後の裁判において寿命が残っていれば、再び現世に送り返されると言われています。

「鬼籍」の成り立ち

「鬼籍」は「鬼」と「籍」からできています。「鬼」は桃太郎などの昔話では、角が生えていて金棒を振り回す悪い妖怪です。しかし、字義的には死者の魂を表します。

「籍」は何かが書き込まれた書物や帳面、文です。特に、「戸籍」のように人の名前や家族関係が書かれた帳簿のことを指します。「鬼」と「籍」を合わせると、死者の情報が書かれた帳簿という意味になりますね。

「鬼籍」の使い方

  • 命日を確認するために鬼籍を見る。
  • 余命数か月と言っても、あくまで医師の予想に過ぎない。閻魔大王の鬼籍を見たわけではないのだから、長生きすることもあるだろう。

鬼籍に入る

「鬼籍に入る」とは

「鬼籍」は「鬼籍に入る」という慣用句でよく使われます。「きせきにいる」と読みます。「はいる」ではなく「いる」です。

「鬼籍に入る」とは死亡することです。お坊さんの持っている「鬼籍」に名前が書かれるのは死亡した人だけです。「鬼籍」を死亡した人を集めた戸籍に見立てて「入る」と表現します。

「鬼籍に入る」の使い方

  • かつてのクラスメートも年々鬼籍に入ることになり、同窓会は寂しくなる一方だ。
  • 秘密を共有した友人たちもみんな鬼籍に入ってしまった。
  • 豪胆で知られるこの男も、かつての恋人が鬼籍に入るという知らせにはショックを受けたようだ。

「鬼籍に入る」の類義語

「鬼籍に入る」には類義語がいくつもあります。日常的な言葉でいえば「亡くなる」や「死亡する」、「死ぬ」です。その他の文章語には以下のようなものがあります。

  • はかなくなる
  • 雲隠れする
  • お隠れになる
  • 帰らぬ人になる
  • 永い眠りにつく
  • 入寂(にゅうじゃく)する
  • こと切れる
  • 斃(たお)れる

「鬼籍」の類義語

過去帳

「過去帳」は故人の本名や戒名、死亡した日付を記した帳簿です。物として帳簿を指す場合には「鬼籍」よりも好まれます。

なお、「過去帳」と呼ぶのはあくまでもお寺や遺族が保管しているものだけで、閻魔大王が持っているものは「過去帳」とは呼びません。

閻魔帳

「閻魔帳(えんまちょう)」とは閻魔大王が持っている帳面のことです。死者が生前にどんなことをしたのか、どのような罪があるのか書かれています。言ってしまえば生前の行いを評価した通知表のようなものです。

そこから転じて、教師が持っている生徒の評価を記した帳面も「閻魔帳」と呼ばれています。生徒の日ごろの行いを記録しておき、学年末に成績という形で判決を言い渡す材料にするわけです。

また、まれな使い方ではありますが警察官や治安関係の役人が持っているブラックリストも「閻魔帳」と呼びます。何かしでかしそうな危険人物の評価をまとめた書類です。人の評価を記した秘密の書類という点はどれも共通していますね。


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