「破落戸」の読み方
「破落戸」は「ごろつき」や「ならずもの」と読みます。いわゆる熟字訓の一種です。
「破落戸」の意味
「破落戸」とは住所や職業が決まっていない、素行の悪い人です。特に決まった仕事をしているわけでもなく、住んでいる場所もその時々で様々。どうやって生活しているのかと言えば、かけ事や悪事でお金を儲けているようです。
多くの場合、「破落戸」は喧嘩好きの乱暴者やゆすりとたかりを好む悪人です。しかし、ただ単に生計が立たずに身を持ち崩した人を表す際にも使われます。
「破落戸」の由来
破落戸
「破落戸」は中国由来の言葉です。中国語では、落ちぶれた家柄を表します。「戸籍」や「一戸建て」という言葉があるように、「戸」には家や世帯、家族といった意味があります。
家が破滅して没落してしまった。家業が無くなったために仕事はない。住宅もお金のために無くしてしまった。
そうして落ちぶれた人は日本語でいう「ごろつき」や「ならずもの」です。このようにして、「破落戸」という熟字訓が出来上がっていったと言われています。
ごろつき
「破落戸」の読み方の一つは「ごろつき」です。「ごろつき」の由来は、ぶらぶらさまようという意味の「ごろつく」という動詞です。「ごろつき」には住所や定職がないので、あちこち出歩いています。
「ごろ」は部屋でゴロゴロと寝転がる時の擬態語と同じです。勢いもなく、ゆっくりとあたりに転がっている様子を表しています。
「つく」は「ぶらつく」や「うろつく」の「つく」です。状態を表す言葉で、動詞化する言葉という程度です。
ならずもの
「破落戸」のもう一つの読み方が「ならずもの」です。漢字では「成らず者」とも書きます。
「成る」はうまくいく、出来上がるという意味の動詞です。この場合は社会的に大成するとか、ひとかどの人間になるといった意味です。それを「ず」で打ち消しているので、大成しなかった人という意味になってしまいます。
生活がどうにもならなかったので、仕事も住宅も手放してしまった。これが「ならずもの」の由来です。
「破落戸」の使い方
「破落戸」は読みにくい言葉ですので、基本的には漢字で書きません。ひらがなで書きます。いくつか例文を挙げてみましょう。
- ならず者が十人ばかり、家の前に集まっている。
- 当時はごろつきのような身なりで自堕落な生活をしていた。
- 家族からは破落戸と思われているだろう。
「破落戸」の類義語
与太者
「与太者」は、特定の仕事に就いていない人という意味です。「ごろつき」や「ならずもの」と同じですね。
「与太者」の由来は落語に出てくる「世太郎」です。ドジな役目や間抜けな役回りを受け持つ人がこの名前で呼ばれています。そのため、役立たずの愚か者といった意味で「与太者」が使われることもあります。
無頼漢
「無頼漢」とは自分自身の他に頼りになるものがない人です。「破落戸」と同じ意味で使われることもあります。
家族や親戚と付き合いがあれば、血縁を頼ることができますし、仕事をしていればその付き合いがあるでしょう。
しかし、人付き合いや定職を持ち合わせていない場合、何も頼れないということになってしまいます。こういった人が「無頼漢」です。
無法者
「無法者」とは法律や秩序、道徳などを無視する人々です。法律も道徳も無視するわけですから、やっていることは違法といえます。類義語よりも法を無視しているという意味合いの強い言葉です。
ごろ
「ごろ」は「ごろつき」の略です。しかし、「ごろつき」とは違い政界や財界、各種業界に出入りして利益を得ている人という意味で使われます。
スキャンダルを公表しない代わりにお金をよこせと脅す人などが「ごろ」です。業界によって、政界なら「政界ゴロ」、財界なら「財界ゴロ」と呼ばれています。