「脹脛」の読み方
「脹脛」の読み方は「ふくらはぎ」です。まれに「こむら」と読むこともあります。日常では漢字で書くことがないので、見かけることはないかもしれませんね。
アクセントは真ん中の「くら」につけるか、後半の「くらはぎ」全てにつけます。
「脹脛」の意味
「脹脛」はすねの後ろ側、筋肉で膨らんだ部分です。膝の裏側のくぼんだ部分・膕(ひかがみ)から足首にかけて盛り上がっている部分があるでしょう。そこが「脹脛」です。
「脹脛」の由来
「脹脛」の由来はふっくら膨らんでいるすね、です。膨らんでいるから、ふっくら。そのままのネーミングですね。「脛」という字は「はぎ」だけでなく「すね」とも読みます。合わせてふっくらしたはぎ、ふくらはぎです。
「脹脛」と「こむら返り」
こむら返りとは
「こむら返り」とは足をつってしまい、ひどく痛んで思うように足を動かせなくなる現象です。ちなみに「こむら」は「脹脛」の昔の呼び名です。
「こむら返り」の正体は筋肉の痙攣(けいれん)です。筋肉は体中にありますから、痙攣自体はどこでも起きます。中でも痙攣しやすいのが「脹脛」なので、「こむら返り」と呼ばれているわけです。
なお、医療用語としては、有痛性筋痙攣(ゆうつうせいきんけいれん)といいます。痛みを伴う筋肉の痙攣という意味です。腓腹筋(脹脛の表層の筋肉)で起こるので腓腹筋痙攣(ひふくきんけいれん)と呼ぶこともあるようです。
こむら返りの原因
本来、足の筋肉は自分の意志で思い通りに動かせるはずですが、筋肉の一部がなぜか勝手に収縮してしまう。その結果が激しい痛みです。
「こむら返り」の原因はさまざまです。薬の副作用や神経系の病ということもあり得ますが、単なる水分やミネラルの不足という可能性もあるようです。
カリウムやカルシウムは筋収縮で重要な役割を果たしており、マグネシウムはその2つを調整する働きがありますので、不足しないようにしましょう。また、激しい運動や運動不足が原因ということも考えられます。
こむら返りの対処
「こむら返り」がもし起きてしまった場合、次のような対処が有効であるとされています。
- 温める
- ストレッチ
- 水分補給
- ミネラルの摂取(特にマグネシウム)
「脹脛」の別名
「脹脛」は一般的な呼び名であって医療用語ではありません。医療関係者は「腓腹部(ひふくぶ)」と呼びます。「脹脛」を構成している筋肉が「腓腹筋(ひふくきん)」と「ヒラメ筋」なので、腓腹筋のある部位ということですね。さすがに「ヒラメ部」とは呼ばないようです。
「脹脛」の関連語
むこうずね
すねの後ろ側は「脹脛」です。では前のほうはなんと呼ぶのでしょうか?答えは「むこうずね」です。漢字では「向う脛」になります。「向う」は、差し向かいや向かい合うと同じく正面の方向です。すねの前側、正面側という意味になりますね。
弁慶の泣き所
「むこうずね」には「弁慶の泣き所」という別名もあります。弁慶とは『義経記』で大活躍した鬼のように強い武者です。強いだけでなく、機転も利いて義に厚い忠臣とされています。
そんな弁慶であっても、ここをけられると思わず涙を流してしまう。それほど痛みを感じやすい部位という意味です。
アキレス腱
「アキレス腱(けん)」は脹脛の筋肉をかかとにつないでいる腱です。アキレスはアキレウスとも呼ばれるギリシア神話の英雄。人間離れした英雄でしたが、弱点のかかとを矢で射られて死んでしまいます。
アキレウスの弱点がかかとであったのには理由があります。一般に語られているのが、母親の女神テティスが冥界の川に赤子のアキレウスを浸したとき、かかとをつかんでいたからというものです。
女神の手が邪魔してかかとが水にさらされなかった、というわけです。この川の水に使った部分は不死身になるのだそう。
もう一つの説は、赤子のアキレウスを火であぶっていたのを夫に邪魔されたから、というものです。元々アキレウスは、父親が人間で母親が女神のハーフです。その体も半分は不死身の神で、残り半分は死ぬ定めにある人間です。
母親はアキレウスを完全な不死身にしたかったため、死すべき人間の部位を焼いていたそう。それを夫にされたので、人間の部分がのこってしまったのです。
どちらの説であっても、アキレウスの弱点「アキレス腱」は、子を強くしたい母親の願いの結果とも言えますね。