「意趣返し」とは?意味や使い方を類語を含めてご紹介

「意趣返し(いしゅがえし)」という言葉をご存知ですか?「意趣返し」には「仕返しをして恨みを晴らすこと」という意味があります。積年の恨みの仕返しするというと怪談話か何かのようですが、今回はこの「意趣返し」の意味や使い方、類語について解説します。

目次

  1. 「意趣返し」とは
  2. 「意趣返し」の使い方
  3. 「意趣返し」と「仕返し」
  4. 「意趣返し」の類語

「意趣返し」とは

「意趣返し」の意味

「意趣返し(いしゅがえし)」とは、「仕返しをして恨みを晴らすこと」「報復」「 復讐」という意味の言葉で、「意趣晴らし(いしゅばらし)」ともいわれます。

「意趣」の由来

「意趣」という言葉は、中国語に由来しており、「意(心の)」と「趣(おもむき)」を組み合わせた熟語です。

日本において「意趣」は「理由・わけ」といった意味で用いられていましたが、中世以降に「心の中にある不満や恨み」という意味に転じたといわれています。

「意趣」の意味

現代の日本語においては、「意趣」には次のような意味がありますが、「意趣返し」という時の意趣の意味は1の意味で用いられます。また、5のように「意趣」=「意趣返し」の意味でも使うことがあります。

  1. 他人の仕打ちに対する恨み。
  2. 心の向かう所。考え。意向。趣向。
  3. 意地。いきがかり。
  4. わけ。理由。
  5. 「意趣返し」と同義

「意趣返し」の使い方

「意趣返し」が使われる場合

「意趣返し」は小競り合いというよりは、かなりの損害を被った報復、積年の恨みの復讐、蓄積された鬱憤の仕返しを表す場合に用いられます。個人的な恨みにも使用されますが、企業間や国と国との争いごとなどに使われることが多い言葉です。

「意趣返し」の例文

  • AさんがネットでBさんを非難したのは意趣返しだ。Bさんは長年に渡ってAさんを中傷し続けてきたのだから仕方ない。
  • C国のD国への経済制裁は、テロ攻撃への意趣返しだが、平和的解決に向けて、C国とD国が直接交渉できる余地は残しておく必要がある。

「意趣返し」の誤用

「意趣返し」が「皮肉」の意味で用いられることがありますが、これは誤用と言われています。「意趣返し」は相手への遠回しな攻撃ではなく、直接的な攻撃をする場合に使います。

「意趣返し」と「仕返し」

「仕返し」とは

「仕返し」は「ひどい目にあわされた相手に報復すること」「復讐」を指す言葉です。「意趣返し」と同じく「報復」「復讐」という意味がありますが、「仕返し」と「意趣返し」には違いはあるでしょうか?

「意趣返し」と「仕返し」の違い

「意趣返し」と「仕返し」の違いは、日常的に用いられるかどうかです。例えば、子供が相手に水をかけられたからかけ返すといった場合、「仕返し」は使いますが「意趣返し」は使いません。

「意趣返し」には「積年の恨み」のような感情があることが前提となっているので、「意趣返し」という言葉を用いるのは、それ以前によほどのことがあった場合です。そこで、日常的な出来事の報復を指す場合には「仕返し」が使われます。

「意趣返し」の類語

「敵討ち/仇討ち」

敵討ち(かたきうち)」や「仇討ち(あだうち)」は「仕返しをすること」という意味ですが、「(主君・肉親・友人などを)殺した相手を討って恨みを晴らすこと」を表す場合もあります。また、「敵を討つ/仇を討つ(かたきをうつ)」はこれらの動詞型です。

【使用例】

  • 優勝決定戦で後輩の敵討ちを果たした。
  • 友を手にかけた犯人をようやく突き止めて仇を討った。

「雪辱」

雪辱(せつじょく)」とは「恥をすすぐこと」、特に、「競技などで負けたことのある相手を破って名誉を取り戻すこと」を表す言葉で、「雪辱を遂げる」「雪辱を果たす」「雪辱する」のように用いられます。

【使用例】

  • A社には汚い手も使われたが、新製品の販売競争に勝って雪辱を遂げることができた。
  • Bさんは上司Cさんからのパワハラに負けず、昇進してCさんと同格になり、雪辱を果した。
  • Dさんからは長年嫌がらせを受けてきた。ここらで雪辱しなければ!

「復讐」

復讐(ふくしゅう)」には「敵討ちをする」「仕返しをする」という意味があります。歴史を振り返ると、復讐(やられたことをやり返す)が社会制度として認められているコミュニティは少なくありませんでした。

【使用例】

  • 彼はずっと母を虐げた(しいたげた)父に復讐する機会を待った。
  • 復讐は新たな憎しみを生むだけだ。

「返報」

返報(へんぽう)」には「人がしてくれたことに対して報いること・返礼」や「返信」という意味もありますが、「意趣返し」の類語として用いられるのは「恨みに対して仕返しをすること」という意味です。

【使用例】

  • 彼らから受けた屈辱に対して返報しなければ気が済まない。

「報復」

報復」には「仕返しをすること」「(国際間で)ある国の不当行為に対して、同様に不当行為で報いること」という意味があります。

【使用例】

  • 報復を恐れて彼はそれ以上の手出しはしなかった。
  • A国のB国に対する報復はいささかやりすぎではないだろうか。


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