「五感」とは
「五感」(ごかん)とは、外界の事物や状態を認識する、目(見る)、耳(聞く)、鼻(嗅ぐ)、舌(味わう)、皮膚(触れる)で感じる五つの感覚のことで、以下のものを意味します。
- 視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚
- 五つの感覚(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)の総称
このような区分のされ方は、古代ギリシャのアリストテレスの分類が由来といわれてます。
「五感」の英語表現
Man has five senses – sight, hearing, smell, taste and touch.
人間には視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の五感がある。
「五感」を用いた例文
- 瞑想は五感を研ぎ澄ます方法の一つといえる。
- 五感を刺激するには、自然に触れることが効果的だ。
- フードコメンテーターの微細にわたる解説を聞いていると、つくづく五感が鋭いと思う。
各「五感」のはたらき
「視覚」
「視覚」は光の刺激を受けることで生じる感覚です。色覚(色を感じる感覚)と光覚(光のくる方向や明暗を感じる感覚)に分けられ、機能的には、形態視(対象物の形を識別)と空間視(対象物の位置や動きを識別)に分けられます。
人は五感のなかでも視覚を一番使い、それは8割以上ともされています。
「聴覚」
「聴覚」は一定範囲の周波数の音波の刺激により生じる感覚です。主に昆虫類と脊椎(せきつい)動物に発達しています。
年齢や性別により個人差がありますが、人はおおむね外耳・中耳・内耳により16~2万ヘルツの音波を感じると言われています。また、聴覚により音の三要素(高さ、大きさ、音色)が識別されます。
「嗅覚」
「嗅覚」とは、嗅覚器の感覚細胞に揮発性物質が化学的な刺激となって生じる感覚です。
陸上に生息する動物では空気中を伝わってきた物質が、水中に生息する動物では水に溶けた物質が刺激の源となります。嗅覚は食物の選択や有毒物質の回避、異性の識別や誘引、捕食者の発見や防御などの識別に役立ちます。
「味覚」
「味覚」は、味覚器官に化学物質が刺激となって生じる感覚です。生理学的には、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味で5基本味と位置付けられています。
とはいえ、実際にはこれらの味の混合や、嗅覚や触覚や温度感覚なども関係して、様々な味覚が生ずると考えられています。
「触覚」
「触覚」とは、皮膚や粘膜など生体の表面に加えられた触刺激により生じる感覚のこと。狭義では、刺激となる外力が持続的、または強力的だったり、深部に感じたりする場合を圧覚といい、皮膚表面に感じる場合の触覚と区別していますが、広義では両者を一括して触覚と呼んでいます。
なお、皮膚や粘膜などの体表面で受ける皮膚感覚には、触覚、圧覚、冷覚、温覚、痛覚などがあります。
「五感」の関連語
五官
「五官」とは外界の事物を感じる感覚器官のことで、目、耳、鼻、舌、皮膚のことをいいます。
「五感」が五つの感覚であるのに対し、「五官」は五つの感覚器官を指します。この二つは本来同音異義語ですが、同義として使われることもあります。
感覚器官
外界の物理的・化学的な刺激を受け入れて神経に伝える器官を「感覚器官」といいます。感覚器官には、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、皮膚覚、平衡覚、回転覚などがあり、「感覚器」また略して「感官」ともいいます。
知覚
感覚器官への刺激を通じて与えられた情報をもとに、外界の対象の性質・形態・関係および身体内部の状態を把握するはたらきを「知覚」といいます。把握する対象に応じて、運動知覚、奥行知覚、空間知覚、時間知覚などに分けられます。
体感
- 皮膚や内臓の諸器官が受ける刺激による感覚。飢え、渇き、吐き気、悪寒などの感覚。
- 身体に受ける感じ。
感覚
1.外界から身体のある部分が様々な刺激を感じとるはたらき、また、それにより起こる意識。
2.物事を感じとらえる心のはたらき。
人の「五感」
五感は、それぞれの機能を別々に使うというよりは、組み合わせて使うことが多いです。例えば人の感情を読みとる際には、顔の表情や身振りなどを見る視覚、声の調子を聞く聴覚などで、総合的に判断します。
ただし、五感は使わなければ衰えてきます。逆に、ある感覚ばかりを酷使すると、その感覚は疲労し回復にも時間がかかります。そして五感が鈍くなり正常に機能しにくくなると、心身のバランスも崩れがちになるのです。
したがって、日常生活でも五感をバランスよく使用するのが理想と言えるでしょう。食事ひとつをとっても、最も使用頻度が高いといわれる視覚だけに頼るのではなく、味覚や嗅覚、そして触覚、場合によっては聴覚と、意識すれば様々な感覚を使うことができます。
人が本来もっている感覚を正常に保つためにも、ぜひ五感を意識的に使って日々を過ごしてみてはいかがでしょうか。