「滸」とは?意味や使い方を読み方を含めてご紹介

「滸」はあまり見慣れない字ですが、何を意味する漢字がご存じでしょうか。実は私たちが日常的に使っている言葉の中にも「滸」を含むものがあります。「おこがましい」もそのひとつ。今回は「滸」の読み方と意味、使い方や漢字の成り立ちまで含めてご紹介します。

目次

  1. 「滸」の読み方と意味
  2. 「滸」の使い方
  3. 「滸」の字の成り立ち
  4. 「滸」と「畔」の違い
  5. 「滸」を含む言葉

「滸」の読み方と意味

「滸」と書いて「コ」または「ほとり」と読みます。その読みのとおり、「ほとり」「みずぎわ」「きし」など、水辺の地を意味する漢字です。なお、中国の歴史小説『水滸伝(すいこでん)』は、水のほとりの物語という意味になります。

「滸」の使い方

  • 長い山道を下って、ようやく小川の滸にたどり着いた
  • 夏の間は、湖の滸にたたずむ小さなペンションで避暑しよう

「滸」の字の成り立ち

「滸」という漢字は「氵」と「許」とで成り立っています。「氵」はさんずい、水を表す部首です。そして「許」は許可、許容など「ゆるす」という意味の漢字です。しかし、なぜこのふたつの文字が合わさって「ほとり」となるのでしょうか。

実は「許」という字は、「ゆるす」のほかにも「ところ」という意味で使われることがあります。単独で使われることが少ないのでイメージしにくいのですが、「おやもと」は漢字で書くと「親許」、親の住んでいるところという意味になります。

そして「滸」についても同様に、「氵」+「許」で水のあるところ、水ぎわ、すなわち「ほとり」になったと考えられています。

「滸」と「畔」の違い

「ほとり」という言葉を辞書で調べると、あるいは端末で打ち込むと、まずは「畔」という漢字が出てくるかと思います。実際、湖のほとりを表す「湖畔」に「滸」が用いられることはありません。

しかしその字の作りから、「畔」は水辺を表す文字ではないことがわかります。「畔」は「田」を「半(わける)」、「あぜみち」を意味する漢字です。また本来「畔」には「ほとり」という読み方はありません。

つまり厳密にいえば、「畔」の意味する「ほとり」は水辺に限らず、ある場所の周辺を指しているということになります。その例が「橋畔(きょうはん)」。橋のたもと、という意味です。

「滸」を含む言葉

私たちが日常的に使っている言葉の中にも「滸」を使ったものがあります。謙遜の意味で使われる「おこがましい」という言葉、これは漢字では「烏滸がましい」と書きます。

「烏滸(おこ)」とは、中国の漢代に、今の広西省に住んでいたといわれる未開人のことで、当時の差別用語にあたります。その意味は現代でも引き継がれ、おろかな人を指す「烏滸の者」、ばかげていることを指す「烏滸の沙汰」などの言葉は今も使われ続けています。

「烏滸がましい」も良い意味で使われることはなく、他人に対して使う場合には「図々しい」、自分自身について使う場合には「態度が出すぎていて恥ずかしい」という意味になります。特にビジネスシーンなど、目上の人と話す際には注意が必要となる言葉です。


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