「役不足」の意味
その人の力量に比べて与えられた役目が軽すぎること、軽い役目のため実力を十分に発揮できないことを「役不足」と言います。あるいは、俳優が自分に割り当てられた役に対して不満を抱いている、といった方がイメージしやすいかもしれません。これが「役不足」の意味です。
「役不足」の使い方
- これまでの彼の功績からすると、課長補佐では役不足の感がある。
- あの大物女優が脇にまわるなど、彼女にとってはかなり役不足だろうね。
「役不足」の語源
「役」には職務、任務、地位などの意味があります。そして「不足」は、十分ではないこと、満足ではないことを意味する熟語です。ある人にとって任務や地位が十分ではない、つまりその役目は軽すぎるという意味を持つのが「役不足」という言葉です。
「力不足」との混同
同じく‘不足‘の付く言葉のひとつに「力不足」があります。その文字の示すとおり、力が十分ではない(荷が重い)という意味です。
この「力不足」と「役不足」は音の響きも似ており、非常に誤用されやすい言葉です。文化庁が毎年行っている『国語に関する世論調査』でも過去2度ほど取り上げており、平成14年度調査では回答者の約6割、平成18年度調査では回答者の約5割が、「役不足」と「力不足」の意味を混同していることがわかりました。
「役不足」誤用に潜む危険
下の文章は「役不足」を誤用しているひとつの例です。わりとよくある言い間違いなので気付かないまま聞き流している方も少なくないと思いますが、「役不足」の意味を正しく知ると、かなり違和感を抱くはずです。
後半の「役不足ではありますが…」を本来の意味に置き換えると、「物足りなくて不満ですが…」となってしまいます。発言者はおそらく「自分は未熟である」という謙遜の意味を込めたのでしょうが、「力不足」と「役不足」を使い誤ったために正反対の意味になってしまったのです。
謙遜は美徳。でも言い間違えてしまっては意味がありません。言葉の意味を正しく理解して使うことが重要です。