「様」とは?
「様」とは、「物事の方向・形・あり方・しかた・趣きに関し包括的にいう語」です。また、「何かをする様子や、しとげた結果が、それにふさわしいかっこうになる」という意味もあります。
- 有様(ありさま)
- 様子(ようす)
- 生き様(いきざま)
- 一体この様(ざま)はなんだ
- 着こなしが様(さま)になっている
さらに、「様」をつけることで言葉に丁寧さが出ます。
- お待ちどう様
- ご苦労様
- お疲れ様
氏名・居所などの下に添える「様」
「様」は「氏名・居所などの下に添える敬称」としても用いられます。
- 佐藤様
- お客様
- あちら様
住所と受取人で異なる姓の宛先を書くとき
みなさんの周りに、大家さんの家に下宿したり、部屋を間借りしたりして暮らしている友人はいませんか?そうした知人に手紙を書くときに、住所はどのように書いたらよいのでしょうか。
宛名を受け取る本人の名にするとしても、住所が大家さんの家と同じなので、表札と宛名が異なってしまいますね。配達の際、郵便局員はポストに入れてよいものか困ってしまうかもしれません。
このように、送付先の住所の姓と受取人の姓が違う場合に「様方」を使います。また、以下のようなケースでも「様方」が用いられます。
- 結婚していないが同棲しており、家主が受取人ではない場合
- 結婚して姓が変わったが、実家に帰省している場合
手紙への書き方としては、「送る世帯主の名前+様方+送る相手の名前+様」といった形で使います。
よく「○○方様」というように、「様」と「方」を逆に書いてしまう人がいますが、それは正しい書き方ではありませんので気を付けましょう。
「様」は敬語ではない?
「様」がつく言葉に、「貴様」という二人称があります。「貴」も「様」もどちらも相手を敬う意味を持つ漢字であるのに、「貴様」には罵るようになニュアンスがあるのはなぜなのでしょうか?
実は、「貴様」はもともと漢字の意味のとおり、相手を敬う意味で使われていたそうです。しかし、それが時代がたつにつれてその敬称の意味は薄れていき、俗語のようになっていったそうです。
「貴様」はもともとは相手を敬う意味があった
一説によると、はじめは武家の間で使われていた「貴様」という言葉も、だんだん一般大衆にも広まるようになり、江戸時代の中期頃から少しずつ本来の意味が薄れていったそうです。そして太平洋戦争の頃、「貴様」の使い方は大きく変化したと言われています。
旧日本軍の頃、上官は部下のことを「神(=天皇)の子」として、尊敬の念をもって「貴様」と呼んでいたそうです。「神の子」として、部下であっても等しく接しなければならなかったからなのだとか。
それが戦後、世間一般にも広まるようになったことで次第に敬語の意味がなくなり、「貴様」は「単なる目上の人から目下の人への呼称」と認知されたのです。