「妾」とは?意味や使い方を読み方を含めてご紹介

「妾」という漢字をどのように読むかご存知ですか?この漢字の読み方には「ショウ」、「めかけ」、「わらわ」があり、読み方によって意味が異なります。今回は、「妾」の読み方とそれぞれの意味を、漢字の成り立ちなども含めて解説します。

目次

  1. 「妾」の読み方と意味
  2. 「妾(ショウ・めかけ)」と読む場合
  3. 「めかけ」とは
  4. 「妾(わらわ)」と読む場合
  5. 「わらわ」の語源

「妾」の読み方と意味

「妾」という漢字は、音読みでは「ショウ」、訓読みでは「めかけ」、「わらわ」と読み、次のような意味があります。

  • めかけ。側室。男女関係にある正妻以外の女性。
  • こしもと。女性の召し使い。身分の高い人に仕えて身の周りの世話をする女性。
  • わらわ。女性が自分のことをへりくだっていう言葉。

「妾」は、読み方によって、異なる意味で使用します。それぞれの意味や使い方については、この後、ご説明します。

「妾(ショウ・めかけ)」と読む場合

「妾(ショウ・めかけ)」の意味

「妾(ショウ・めかけ)」とは、「正妻のほかに愛し扶養する女性」、「婚姻した男性の、経済的援助を伴う愛人」を指す言葉です

性別による立場が逆転し、女性に養われる男性を表す時は「男妾(ダンショウ・おとこめかけ)」と呼ぶこともあります。

「妾(ショウ・めかけ)」の使い方

  • 昔は経済力を誇示するためにを囲うことも多かった。
  • 彼はの子として冷遇されてきた。

「妾(ショウ・めかけ)」を含む熟語

  • 妾宅(ショウタク):めかけを住まわせるための家。
  • 侍妾(ジショウ):身分の高い人の身の回りの世話をする女性。そばめ。こしもと。
  • 愛妾(アイショウ):気に入りのめかけ。
  • 妾腹(ショウフク):めかけから生まれること、または生まれた子。
  • 財界妾(ザイカイめかけ):経済界の利益を代弁する学者や評論家、政府有識者、御用学者を指す卑語。

「めかけ」とは

「めかけ」の語源

「めかけ(目をかけて世話をする)」は中世末期から使われている言葉で、本来は「目掛け」と書いていました。やがて、「妾」が「めかけ」の当て字として用いられるようになり、現在に至ります。

「めかけ」と愛人の違い

一般的に、「妾」はその存在を妻が承知しているものなので、必ずしも、社会的に秘匿されるものではありませんでした。その点で、妻にも秘密にする不倫相手(愛人)とは異なります。

「妾(わらわ)」と読む場合

「妾(わらわ)」の意味

「妾(わらわ)」は、女性が自分をへりくだっていう言葉で「わらわ」、「わたくし」という意味です。近世では、特に、武家の女性が用いていました。

「妾(わらわ)」の使い方

次の引用は、『平家物語』の一節で、平清盛が白拍子の仏を召し置こうとするのを、仏が頑なに断る場面です。

を一人召し置かれなば、祇王御前の心のうち、はづかしうさぶらふべし。」
(意訳:私一人を召し置かれることになったなら、祇王御前様のお心遣いに対して申し訳なく思います。)
『平家物語 -六- 祇王』より

また、小説などにおいては「妾」を「わたし」、「あたし」の当て字として用いている場合もあります。下の引用は、夢野久作・作の短編『黒い頭』の一節です。

「あら、姉様、堪忍して頂戴。妾(わたし)が悪いのですから」

謙譲の意が失われる「妾(わらわ)」

現在、映画やアニメ、ゲームなどのフィクション作品において、「妾(わらわ)」は、女王、王女、貴族など身分の高い人女性の一人称として用いられる場合があります。

本来は謙譲表現なので、へりくだる必要のない高貴な身分の人が使う言葉ということではないのですが、武家の女性が用いていたことから、身分の高い女性が使う言葉というイメージが生まれたのかもしれません。

このような作品において、一人称に「妾(わらわ)」を使うキャラクターは、自分より低い身分の者にも「妾(わらわ)」を使っているので、そこに謙譲の意は含まれていないと言えるでしょう。

「わらわ」の語源

「妾」の漢字の成り立ち

「妾」という漢字は、「女奴隷」を表す会意文字です。「辛」+「女」で成り立っており、「辛」は、捕虜や罪人に入れ墨で印を付ける際に使う針を表しています。

「妾」に一人称の意味が加わる

やがて、古代中国において、「妾」が、「(めかけのように卑しい)私」という謙譲の意を含む一人称として用いられるようになりました。

「童(わらわ)」の漢字の成り立ち

ところで、「童(わらわ)」という漢字の成り立ちは「妾」と同じで、「辛」+「目」+「重」で、「目の上に入れ墨を入れられ、重い荷物を背負わされた奴隷」を表しています。「童」は「使いっ走りの子供」などの意味となり、のちに「子供全般」を指すようになりました。

「妾」が「わらわ」の当て字になる

やがて、日本語において、「わらわ」が「(子供のような、取るに足らない)私」というへりくだった一人称として使われ始めました。

一人称の「わらわ」に漢字を当てる際に、同じような意味を持つ漢字「妾」が選ばれ、「妾」に「わらわ」という読み方が加わったのです。


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