「アテクシ」とは?
「アテクシ」とは「私(わたくし)」を意味する言葉で、「わたくし」を口語的に変形させた表現です。2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)などで使われているネットスラングで、特に、若者の間に広く浸透しています。次にご説明するように、皮肉として用いられることが多いので、使い方には注意しましょう。
「アテクシ」の使い方
皮肉として使う場合
「アテクシ」は、SNSなどで皮肉を言うときに「アテクシは〜」という形で使われます。芸能人などが炎上するような発言をした際、その人の発言の「私」の部分を「アテクシ」に変えて揶揄したり、その人自身を指して「アテクシ」と皮肉を込めて呼んだりします。
[使用例]
- 元の発言:「私にはまったく覚えがございません。」
- ネット上の発言:「"アテクシにはまったく覚えがございません" だってよ(笑)」
自虐や照れを表す場合
SNSなどで自虐的であったり、おどけたり、照れたりしているニュアンスを表す際、発言者が一人称として「アテクシは〜」を使うこともあります。
[使用例]
- 「アテクシは今日も残業。」
- 「アテクシも推しゲットした。」(ソーシャルゲームのガチャで好きなキャラを引き当てた時)
「アテクシ」から派生した言葉
「アテクシ」は他の言葉と合わせて、次のように使われることもありますが、この場合は、いずれも皮肉表現です。
「アテクシ系」
「アテクシ系」は、「ネット上でおかしな発言をする人たち」を総称する言葉で、そのような人たちに対する皮肉として使われます。
- 使用例:「あの人たちはアテクシ系だから、関わらない方がいいよ。」
「アテクシ様」
「アテクシ様」は、「極度に目立ちたがりの人」、「自己アピールが激しい人」を意味する言葉で、そのような人を批判するときに使用します。
- 使用例:「さすがアテクシ様ですね。」「アテクシ様がそう言っていたよ。」
「アテクシアピール」
「アテクシアピール」とは、「目立ちたがりの行動」、「激しい自己アピール」という意味で、その行動を揶揄する際に用いられます。
- 使用例:「あの人はアテクシアピールがすごくて嫌われている。」
「アテクシ」の語源
「アテクシ」がネット上で使用されるようになった経緯は、はっきりとはわかっていませんが、一説には、日常生活で自分のことを「あてくし」と言っている人がいて、それを聞いた人がインターネット上で使用したのが始まりだそうです。
実生活における「あてくし」という一人称は、昭和の頃から使われていたとも言われています。一人称で「あて」、「わて」を使う地方もあるので、それを改まった表現にしたのが、本来の「あてくし」だったのかもしれません。
なぜ皮肉として用いられるのか?
一人称「わたくし」のくだけた表現として「あたくし」があります。東京方言では「わたくし」と同様、改まった一人称として男女問わず使用していましたが、小説や漫画などにおいては、気取った女性、高慢な女性の一人称として用いられています。
そのイメージから、「あたくし」と音が似ている「アテクシ」という言葉に、気取り屋、高慢な人、少しズレている人に対する皮肉が込められるようになったと考えられます。