「風雅」の元々の意味
「風雅」は元々は中国から入ってきた外来語です。中国で最も古い詩を集めた『詩経』の六義(六つの分類法)のうちの2種類「風」と「雅」のことです。
「風」は風土や民族の意味で、中国の様々な地方に伝わった民謡が入れられています。「雅」は王朝貴族により雅言(標準語)で宮廷内で歌われた詩歌の意味です。周王朝の儀式や宴会、祭祀で用いられた詩歌が載せられています。
日本に入ってからの「風雅」の意味
漢詩に関する外来語の「風雅」が、日本に入ってからは上品さや、古来の芸術を表す言葉になりました。貴族や文化人、芸術に携わる人に縁の深い言葉として使われています。
1.上品な趣向
「風雅」とは、貴族が好んで親しんだような、上品で知性が感じられる意向や工夫を表した言葉です。物事に趣があることや品格が感じられて優雅な雰囲気があることを言います。
【使用例】
- 風雅な庭園でわびさびを感じる
- 一見何気ないように見えるが、風雅な造りの和室だ
2.芸術や文学などの趣味
「風雅」には、詩や文章、和歌などの文学に関する趣味や、書道や日本画、茶道や生け花などの心得という意味もあります。どちらかと言えば、古来の文学に関することや、日本に縁が深い芸術などを趣味としている、造詣が深いことを指す場合が多いでしょう。
【使用例】
- Aさんは弘法大師に例えられるほどの書道の腕前で、風雅に通じている
- 風雅の心得があるB君は、日本文学に詳しい
3.芭蕉の一門の俳諧の本質
俳人の松尾芭蕉の教えを受けた一門は蕉風と呼ばれ、俳句を言葉遊びから芸術の域にまで高めました。芭蕉一門では「俳諧」(俳句や連歌の総称)及び「俳諧の本質」を「風雅」と呼びます。
芭蕉の説いた俳諧の本質は、ただ面白く滑稽な作品を作るだけではなく、「自然の美しさや感情を表現し、古来の和歌や連歌のように優美な作品を詠む」ということです。
「風雅」の類語と意味
「風雅」の類語には「風流」があります。「上品な雰囲気が感じられて、優美である様子」や、「俗世間から離れた静かな所で、詩歌や書道、絵画などの芸術の道に親しんで没頭すること」という意味です。
【使用例】
- 十五夜の月を背景にススキを飾ってみると、風流でインスタ映えするだろうね
- 人里離れた旅館に宿泊して、風流に俳句を詠んでみたいものだ