「黒歴史」とは?
「黒歴史」の意味
「黒歴史(くろれきし)」とは、「今となっては恥ずかしい、無かったことにしたい過去」を表す言葉です。アニメの劇中で使用された言葉がネットスラングとして普及し、一般的に使われるようになりました。
「黒歴史」に相当するケース
- 下積み時代の仕事(本人が隠している場合)。
- 不祥事やトラブル。
- 鳴り物入りで始まったものの、頓挫してしまった大型企画。
- 未完の作品。打ち切られた作品。
- 中二病のエピソード。
- 腕が未熟だったころのイラストや小説。
- 若さゆえの過ち。
「黒歴史」の使い方
- 今では清楚系の服を着ているが、若い頃のギャルファッションは黒歴史だ。
- 彼の黒歴史を知る者としては、地味で真面目な現在の姿に違和感を覚える。
「黒歴史ノート」とは?
「黒歴史ノート」とは、「無かったことにしたいほど恥ずかしい内容が書かれたノート」のことで、できれば墓場まで持っていきたいノートです。人によって書かれている内容は様々ですが、自作のポエムや小説、漫画やイラストなどが多いようです。
「黒歴史」の由来
「黒歴史」の由来
「黒歴史」という言葉の由来は、アニメ『∀ガンダム(ターンエーガンダム)』に登場した用語です。
劇中では、太古に封印された宇宙戦争の歴史(歴代のガンダムシリーズで描かれた物語)のことを指していました。これが転じて、「無かったことにしたい、あるいは、無かったことにされている過去の出来事」を指す言葉となったのです。
『∀ガンダム』とは?
『∀ガンダム』は、『機動戦士ガンダム』誕生20周年記念作品として製作されたTVアニメシリーズで、ガンダムシリーズの生みの親である富野由悠季が総監督を務めました。
「∀」という記号は、集合論や論理学で用いられる「全称記号」ですが、本作では「A(最初)に戻る」という意味を込めて「ターンエー」と読ませました。つまり、『∀ガンダム』では、ガンダムシリーズすべてを総括するという思いが込められているのです。
本作は、黒歴史時代最後のガンダム「∀ガンダム」により、地球圏全土にばら撒かれたナノマシンの影響で、人類の文明が甚大な打撃を受け、産業革命以前まで文明が衰退した世界を舞台としています。
これまでのガンダムシリーズに比べて戦場の描写が少なく、政治的な駆け引きのシーンが多いのが特徴で、舞台設定も手伝って牧歌的で穏やかな情景描写が多用されています。
『∀ガンダム』における「黒歴史」
『∀ガンダム』における「黒歴史」とは、太古の宇宙文明時代に繰り返されていた数々の宇宙戦争の歴史の総称です。
『∀ガンダム』の物語は、黒歴史最後の大災害から復興して数千年後の「正暦」の時代が描かれており、宇宙戦争の歴史を「黒歴史」と総称することで、「地球に住む人類と、宇宙に進出したコロニーや月に住む人類との戦争が、如何なる結末を迎えたか?」といったことまでも作中で描写しています。
本作において、原作者の富野由悠季は、ガンダムシリーズで描かれてきた「宇宙世紀」も、それ以外の作品群の世界観の歴史も含めて、「黒歴史」と総称するという新たな視点を示したのです。
「黒歴史」の英訳
「黒歴史」は英語に直訳すると「black history」で、この英語表現は『∀ガンダム』とは無関係に、「無かったことにしたい過去」という意味で使われていますが、「黒人の歴史」を意味することもあります。
そのため、海外版『∀ガンダム』では、「黒歴史」の英語訳を「black history」ではなく「dark history」としています。
「黒歴史」の類語
「黒歴史」を言い換える言葉としては、「過去の汚点」、「忘れたい過去」、「過去の恥」などが考えられます。
「黒歴史」の対義語
あまり一般的ではありませんが、「黒歴史」から派生した対義語として「白歴史(しろれきし)」という言葉があります。「白歴史」とは、「埋もれさせるにはもったいない出来事や作品」、「もっと評価されるべき過去」を表す言葉です。
「白歴史」に相当するケースには、次のような事柄があります。
- 「これを知ったらもっとその人を好きになるだろう」とファンが思う作品や出来事。
- 知られざる名作。
- 不祥事などで落ち目になってしまった芸能人の在りし日。
- 誰しも少しは積んだことのある善行。人生で一度くらいはある貴重な体験。
- 周りには黒歴史と言われていても、本人は特に隠していない出来事。