「実情」とは
「実情」の意味と使い方
「実情」には「実際の状況や事情」と「真実の心(本当の気持ち)/真情」という二つの意味があります。
【使用例】
- 家庭の実情を打ち明けるには勇気が必要でした
- 実情を知らないくせに話に入ってこないでください
- 彼女の言葉には実情が表れていました(本当の気持ちの意)
「実情」の類語:事情(じじょう)
事情の意味と使い方
「事情」は、物事のなりゆきや様子、事の次第をいいます。
【使用例】
- 事情を説明してお詫びをしていたところです
- 二年前とは事情が違うんだよ
- 個人的な事情で欠席してしまい申し訳ありません
- 路線バスも廃止され、ますます交通事情が悪くなった
また「事情があって、今日は休ませてもらいます」などのように、「事情があって~」の形で、具体的な経緯を省略して説明する場合などに使われることがあります。
実情と事情の違い
「実情」が、本当の気持ちや打ち明け話的な様子をいうのに対して、「事情」はある事柄の原因ないし理由をいいます。
「実情」の「実」が表す「実際」という意味には「実際にそうなんです」といった心情が含まれている感じですね。それに対し「事情」には「電力事情の悪化が不安です」「内部事情に明るい」という使い方でもわかるように、「物事がそうなった内部的な様子や訳」の意が込められています。
「実情」の類語:実態(じったい)
実態の意味と使い方
「実態」とは、実際のありさまや状態をいいます。
【使用例】
- 天下りの実態調査に取り掛かってください
- 失業者の実態を報告してもらえますか
- ギャンブル依存症の実態に迫る
実情と実態の違い
「実情」が、実際の事情や真情をそのまま表すのに対して、「実態」は実際の動きを伴った状態やありさまを表します。
実態の同音異義語:実体(じったい)
「実体」は、物事の内容をなす本質や事物の本体のことをいいます。「実体のない幽霊会社」「謎の人物の実体を突き止める」のように使います。
「実体」が、現象の背後にある本質を指すのに対して、「実態」は外から観察される現象そのものを指します。
「実情」の類語:その他
実相
実際のありさまや本当の姿を表すものとして「実相(じっそう)」という言葉があります。「社会の実相にふれる」という使い方をします。
仏教で、万物の真実の姿やありのままの真実を意味するときにも使われ「真如(しんにょ)」と同じ意味になります。
有り様
できれば言いたくないありのままの姿、またはあるべき理想的な姿を表すのは「有り様(ありよう)」という言葉です。
「有り様を言えば生活は火の車だ」「子は親の有り様を見て育つ」「世の中の有り様に苦言を呈する」などの使い方をします。
勝手
いざ行動する場合のその場の事情や様子のことを「勝手(かって)」といいます。「勝手がわからない」「勝手知ったる他人の家」などが好例です。
また詳しい事情や込み入った事情を表す場合は「子細/仔細(しさい)」という言葉を使います。「子細ありげな顔」「事の仔細を話す」といった使い方をします。
情状/内情
「情状(じょうじょう)」は、ある結果に至った実際の事情のことをいい、「内情(ないじょう)」は、知られていない内部の事情をいいます。それぞれ「情状をくんで不起訴にする」「内情によく通じている」というふうに使います。
「実情」の同音同義語
「実情」と同音で意味もほとんど同じ言葉に「実状(じつじょう)」という言葉があります。「実状」は、偽りのない実際の状況という意味です。
- 「実情」は「実際の事情」「本当の気持ち」
- 「実状」は「実際の状況」
「情」は「事情」「真情」の「情」で、精神面を表す言葉です。それに対し「状」は「状況」を指します。
つまり「実情」には単に実際の事情を意味する場合でも「本当の気持ち」という内面的な情感が含まれています。それに対し「実状」は、あくまでも目に見える実際の状況をいいます。
実情と実状の違い
例えば「被災地の実状」といえば、実際に目にする災害の様子や状況になりますが、「被災地の実情」といえば、被災された方の生活の内情など目に見えない内的なものまでを含む表現となります。
とはいえ現在では「実情」と「実状」は表記の違いと書かれている辞書もありますし、新聞やニュースなどでも「実情」が使われることが多く「実状」はほとんど使用されていません。このことから「実情」の方がより一般的な言葉であるということが言えそうです。