「お前が言うな」とは
「お前が言うな」は、ある出来事に対し、①直接関係が無い立場から意見する、もしくは②当事者なのにまるで他人事のように発言する人へのツッコミとして使われます。「おまいう」と略されることもあります。
これは、過去に自分が言ったことを忘れて何度も失言を繰り返す政治家や、自分の振る舞いを棚に上げて他人を批判する人、無関係なのに当事者のように発言する人に「お前に言えたことではないだろう」「お前には関係ないだろう」「お前には言われたくない」と思う気持ちを一言で表したフレーズと言えます。
「お前が言うな」の使い方
「お前が言うな」は相手の発言内容への反論ではなく、相手の立場や態度を批判する言葉です。言っている内容はそのとおりかもしれないが、それにしてもお前…という具合です。
「お前が言うな」の用例
- (いつも食事を奢られている人が)「財布忘れるとかサイテー(笑)」「お前が言うな」
- (常に隣国を批判している国が)「隣国は不当に我が国を嫌っている。遺憾だ」「お前が言うな」
- (無職引きこもり実家暮らしが)「親の脛かじって生きる奴はダメだな」「お前が言うな」
- (派手なシルクハットにスーツの人が)「この場はもっと地味な服にしないと」「お前が言うな」
英語だと「Look who's talking(誰が言ってるか見てごらん)」のような皮肉を込めた言い回しがされます。
「お前が言うな」の実例
実例として、鳩山由紀夫元総理の沖縄普天間基地辺野古移設問題に対する発言を見てみましょう。鳩山元総理は、2019年2月にツイッターでこのような発言をしています。
沖縄県民投票は辺野古ノーが7割を超え、県知事が結果を尊重する義務が生じる有権者の4分の1も超えて安堵した。県民の意思ははっきり示された。安倍首相、普天間の移設を早めるために、2兆5千億とあと13年もかかる辺野古は諦めて、別の解決を求めるべきだ。それが沖縄県民の強い意思である。
— 鳩山由紀夫 (@hatoyamayukio) February 24, 2019
辺野古移設に反対する沖縄県民の意思を尊重せよとのことですが、そもそも辺野古移設を閣議決定したのは2010年、鳩山元総理の民主党政権でした。
当時は「他の場所を何度も検討したが結局辺野古しかなかった。県民の理解をお願いしたい」と、その後の安倍政権と同じことを言っていたのですが、まるでそれが無かったかのようなツイートです。
過去を省みて意見を変える事は決して悪い事ではなく、新たな知見から意見が変わる事はむしろ良いことのはずです。「お前が言うな」が批判しているのは発言内容ではなく、過去の発言や振る舞いを反省しない無責任さなのでしょう。