「鰹節」とは
「鰹節(かつおぶし)」とは、鰹の肉を加熱乾燥させて作る日本の伝統的な保存食の一つです。主に鉋(かんな)で削って使い、お出汁をとったり、お好み焼きや冷奴に乗せて食べたりと、様々なメニューでべられています。
「鰹節」の種類
「鰹節」は、その工程の違いや作られる鰹の部位によって呼び名が違います。一般的にカビ付け回数が多く熟成期間が長いもの程ランクの高い「鰹節」として取り扱われており、腹側より背中側の肉で作られた「雄節」の方が高級品とされています。
工程の違いによる種類
- 荒節・・・生のカツオを切り分け、煮て、燻しただけもの。
- 枯節・・・荒節を整形しカビ付け(熟成)したもの。
- 本枯節・・・枯節を更に天日干し、カビ付けを3~4回以上繰り返したもの。
魚肉の部位の違いによる種類
- 亀節・・・3キロ以下の鰹の半身で作った本枯節
- 雄節・・・3キロ以上の鰹の背側の肉で作られた鰹節
- 雌節・・・3キロ以上の鰹の腹側の肉で作られた鰹節
「雄節」と「雌節」は、魚体のオスとメスの違いではなく、一本の鰹からとれる魚肉の部位の違いによる名称の違いです。「雄節」と「雌節」では、「雄節」の方が直線的な形状をしており「雌節」よりもサイズが大きいことが特徴です。
「鰹節」のなかま
日本と同じ島国のスリランカ(スリランカ民主社会主義共和国)では、「鰹節」と似た食材の「モルディブフィッシュ」が食されています。日本の「鰹節」と違い、カビ付けの工程はなく、砕いて様々な料理に入れて使われています。最近日本でもスリランカカレーの人気が上がっているのは、カレーに日本人に馴染み深い「鰹節」の旨味が含まれているからかもしれませんね。
その他、中国には主にイシモチなどの魚を塩漬けにして半発酵させてから乾燥させて作る「咸魚(ハムユイ)」、スペイン・ポルトガルなどのヨーロッパには塩漬けの干し鱈「バカラオ(バカラーダ)」などがあります。
日本国内では、鰹は鰹でも宗田鰹で作られる「宗田節」や、その他の魚で「鯖節」「鰯節」「鮭節」などの数多の「鰹節」と同様の製法で作られた食品が存在しています。
「鰹節」の作り方
一般的な「鰹節」の作り方をご紹介します。
- 鰹をさばく
鰹から、頭部と内臓を取り除いて三枚におろす。 - 煮る
釜で2時間弱煮る。お湯を沸騰させてしまうと身が傷つくので、煮立たせないように細心の注意を払って温度調節をする必要がある、重要な工程です。 - 骨抜き
冷ました鰹から、骨・ウロコ・脂肪などの余分なものを取り除く。この時点で出荷されるものは「生利節(なまりぶし)」と呼ばれ、柔らかいのでそのまま食べることができます。 - 燻製・乾燥
ナラやシイなどの木を使って燻製し、乾燥させる。この過程を終了したものを「荒節」と呼び、「荒節」を薄く削ったものは「花かつお」としてスーパーなどで売られています。「花かつお」の価格が手ごろなのは、この後の「カビ付け」の工程がされていない「鰹節」を使っているから簡単に加工できるからです。 - 天日干し・カビ付け
表面の汚れを削り落とした後(裸節)、天日干しをして乾燥させる。その後「カツオブシカビ」を吹き付けて密室でカビを繁殖させて熟成させる。この「カツオブシカビ」が鰹の身のたんぱく質を分解し、旨味成分のイノシン酸やビタミン類を生み出しています。 - 仕上げ
繁殖したカビを削り落とす。
【5】【6】の工程を繰り返すことで水分が減少しどんどん硬くなり、カビもつかなくなります。3~4回以上カビ付けしたものは「本枯節」と呼ばれ、高値で取引されています。高品質の「鰹節」同士をぶつけると、金属音のような「キーン」という音がし、その内部は石のように固く宝石のような濃い赤の輝きがあるのが特徴です。
「鰹節」の使い方
「鰹節」は、主に削って食用として使われています。伝統的な日本食には、「鰹節」からとった出汁を使ったものがたくさんあります。また、醤油との相性がいいので、冷奴やお浸し、卵かけご飯などにお醤油と一緒にかけて食べられています。最近では、削ったものの他に粉末状の「鰹節」も販売されています。
「鰹節」のお出汁の取り方
一般的な「鰹節」のおだしの取り方をご紹介します。
- お湯をわかす。
- 沸騰したら火を止め、「鰹節」を入れて下に沈むまで静かに待つ(1~2分位)。
- ざるの上にキッチンペーパーや布をひき、こして完成。この時「鰹節」を絞ってしまうとえぐみや濁りがでるので、圧力をかけないこと。
お湯1ℓに対して、「鰹節」30g程度が目安です。
「鰹節」のまとめ
「鰹節」は、古くは縄文時代から食べられていた日本の伝統的な保存食です。現在では削られた状態で売られている「鰹節」を利用したり、「鰹節」の粉末やエキスから作られた便利な固形のお出汁を使って料理をする人も多いと思います。
しかし、「鰹節」は削りたてが一番新鮮で美味なんだとか。この機会に、食育の一環や大人のちょっとした贅沢として、ご家庭で「鰹節」削りにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。