「アンチ」とは
「アンチ」とは英単語antiから転じた和製英語で、反発、対抗勢力という意味です。
英単語antiの接頭辞と同じ使い方をされることがほとんどですが、インターネット用語としての「アンチ」は独特な意味を含むので、注意が必要です。
英単語のanti
英単語のantiについて説明します。
発音表記はˈæntɑɪ(米国英語)で、読み方をカタカナに表すとアンタイとなります。アの発音はエに近く、エの口の形でアを発音すると良いでしょう。
名詞としてのanti
名詞のantiは反対者、反論者という意味です。
可算名詞で、複数形はantisとなります。
形容詞のanti
形容詞では、反対の、反対する、となります。
例えばthe anti peopleで、反対する人々という意味です。
前置詞のanti
前置詞のantiは、~に反対で、という意味です。
例えば、He is anti that plan.(彼はそのプランには反対である)などのように使われます。
接頭辞のanti-
接頭辞のantiは固有名詞や形容詞、母音字の前ではハイフンを用います。反~、抗~、対~などの意味です。
anti-Japaneseで反日、anti-Americaで反米、といったように使われます。
野球用語としての「アンチ」
1970年代から野球用語として「アンチ」が使われ始めました。
野球用語では英単語のantiの接頭辞の使い方と同じで、「アンチ」+球団名(〇〇軍)=反○○軍という意味で用いられるのが一般的です。例えば「アンチ巨人軍」は「反巨人軍(または反巨人)」を意味します。
さらに1980年~90年代へと時代が流れる中で、「反○○軍」というだけの意味だった「アンチ〇〇軍」が、「○○軍のファンに対抗する人」という意味でも使われるようになりました。
インターネット用語としての「アンチ」
インターネット用語の「アンチ」も、当初は野球用語の「アンチ」同様、接頭辞と同じ使われ方をしていましたが、現在はアンチ○○といったような使われ方よりも、「アンチ」という単語のみでの使われることが主流となっています。
名詞のantiとしての使われ方に近いですが、ニュアンスが少し異なります。現在のネット上での「アンチ」は、対抗や反対という意味を超え、特定の対象に対して激しく嫌悪を抱く人を指します。この場合、人物、物、会社、作品、団体など、何でも対象になり得ます。
ネット用語としての「アンチ」の使用例
ネット上における「アンチ」の使い方を紹介します。
- 人気のある作品には必ず「アンチ」が存在するものだ
- 和やかな雰囲気のスレッドだったのに、「アンチ」の荒らしにより殺伐とした空気になってしまった
- 「アンチ」に負けないで頑張って欲しい
ネット上の「アンチ」の行動と心理
ネット上で「アンチ」と呼ばれる人について特筆すべき点は、対象に嫌悪を抱くだけにとどまらず、自分が嫌悪する対象の発展を阻止するための悪意を伴った行動をすることです。
例えば、嫌悪を抱く対象への誹謗中傷、思い込みからの邪推、関係者へのバッシングやクレーム、さらにはその対象を好むファンまでも否定したり攻撃を加えたりします。こうした言動はアンチ行為と呼ばれ、中には過激な言動もしばしば見られます。
アンチ行為には、その主張の客観的根拠はなく、個人的な感情から行われることがほとんどです。「アンチ」が嫌悪する対象のみならず、対象を好きなファンにまで攻撃するのは、自分が嫌悪するもので楽しむ人間が許せないといった心理からのようです。
また、「アンチ」がただの攻撃主義者だけだとは限りません。なぜその人が「アンチ」になったのかという経緯はそれぞれであり、本来好きだったものに対して「アンチ」になってしまう場合もあるなど、誰でも「アンチ」になり得ると言えます。さらに、「アンチ」ではなくとも無自覚でアンチ行為をしてしまっているという場合もあります。
「アンチ」がつく言葉
「アンチ」がついた言葉を紹介します。
- アンチエイジング→老化のスピードを遅らせること、抗老化、抗加齢
- アンチテーゼ→ある主張に対して否定をするための主張、対立命題
- アンチウイルス→コンピューターウイルスからコンピューターを守るためのソフト
- アンチヒーロー→典型的なヒーロー像から逸脱した人物像を持つヒーロー、反英雄
- アンチフリーズ→冷却装置などで氷点を下げるために加える液体
- アンチフェミニズム→男性が女性に勝っているという信念、またはそれを示す行動