「及第」の意味と読み方
「及第」は名詞で、「きゅうだい」と読みます。意味は以下の通りです。
- 各種試験や審査などに受かること。また、それらに受かるための水準(合格点)に達していること
- (品物などが)条件に適っていて、良いと認められること
現在では、及第という語句を口語表現で使う機会は減っています。どちらかと言えば、若い世代よりも年配の世代に使われる、文語的な表現と言えるでしょう。
「及第」の使い方と例文
「及第」を使う際は「及第する」のように、後ろに動詞「する」を付ける場合があります。
- 資格試験に及第する。
- 月に30件以上の売上を記録したので、営業職としては及第だ。
- この商品は、数々のテストで及第した。
「及第点」の使い方
- あの新人の社員は、基礎的な勘定科目の仕訳のやり方を理解しているので、経理社員としては及第点だ。
「及第点」のように「ある試験などの合格水準を表す点数」を表す場合、このように単に必要十分な能力を備えているという意味で使うこともあります。
しかし、良い意味で使われずに「合格に必要な点数ぎりぎりで(受かった)」という捉え方をされることもあります。
- 追試の点が及第点ぎりぎりで留年を免れた。
- 指導教授から論文の評価に及第点の「可」を付けてもらったので、なんとか卒業することができそうです。
「及第」の語源
及第の元々の意味は、中国の科挙の試験に合格するということです。科挙は中国で役人に登用されるための試験で、非常に難しかったと伝えられています。明や清の時代には、試験の成績で3番以内の受験者までが合格とされたということです。
及第の「及」は、「およぶ・到達する・手が届く」という意味です。「第」については、第という字そのものを「(官吏登用のための)試験」という意味ととらえて、「官吏登用試験の基準に到達した・合格した」という考え方もあります。
一方で、「第」を大きな屋敷という意味で「官庁」ととらえて、「官庁に手が届く」つまり、「合格する」という意味に解釈したと見る向きもあります。どちらかと言えば、後者の意味合いではないかと考える人が多いようです。
ちなみに「第」が屋敷を表すのは、安土桃山時代に豊臣秀吉によって築城されたものを聚楽第(じゅらくだい・じゅらくてい)と呼ぶ例があります。
「及第」の類語
合格
及第の類義語に「合格」があります。「合格」は「特定の条件に合致すること」・「入学試験などの試験や検査を受けて基準に達していると認められること」です。
- 工業規格に合格した製品を出荷します。
- 第一志望の大学に合格した。
受かる
「受かる」は試験などで「ある一定以上の成績を収めて、学校への入学を認められたり、資格の取得が叶ったりすること」です。
- 大学入試に受かったので、すぐに手続きをした。
- 答え合わせをして一定以上の点数を取れたと思われるので、簿記の試験に受かるだろう。
「及第」の対義語
「及第」の反対語は「落第」です。落第は及第とは逆に、「(官舎や学校などの)建物に手が届かずに落ちる」という意です。転じて「審査や学校での試験に受からないこと」、「一定の必須の条件を満たすことができないこと」などの意味で使われます。
落第点
「及第点」と対になる言葉で「落第点」があります。試験などで、及第点に満たない点数を言います。
- 資格試験の二次試験に落第した。
- 追試で落第点を取り、進級ができなかった。
- 子供が学校で問題を起こし、保護者として落第だと責められた。
不合格・落ちる
「不合格」や「(試験に)落ちる」などの言葉もあります。
「不合格」は「合格」を打ち消した言葉で、「試験などで基準点に達していない」という意味で使われます。入試などで使われることが多いでしょう。「落ちる」も試験などの合格ラインに決められた点数に足りずに、選考から落ちることを言います。
- 入試で不合格の通知が来て、がっかりした。
- 受かると思った校内推薦の選考に落ちてしまった。