「繚乱」の意味
「繚乱」とは、様々なものが同時に、かつ無秩序に存在する様子を表す言葉です。同時に、目まぐるしい程の情報量がもたらす混乱や、圧倒されるような迫力や華やかさなどのイメージを伴います。
代表的な使用例として「百花繚乱」という四字熟語がありますが、この場合は色とりどりの花が同時に視界に入ってきて、眩暈がするように華やかである様子を指します。また、この様子を転じて美しい、あるいは優れた人や物が一堂に会する様子を表します。
「繚乱」は元々は美しさに関わらず無秩序に入り乱れる様子を表す言葉ですが、「百花繚乱」をはじめとして、様々な所でとりどりの美しさを表現するために使われるうちに、上記のような華やかなものが集まった様子をも意味するようになりました。
「繚乱」を構成する漢字の意味
「繚乱」がまとまりなく人や物が溢れている様子を表すことは、構成する漢字ひとつひとつの意味を知ることでも見えてきます。
「繚」の意味
「繚」は糸が長くずるずると続いたり、絡みつく、とりまくといったことを意味します。周囲の空間を取り囲まれるような語感を与える漢字であると言えるでしょう。
「繚れる」と書いて「みだれる」と読むこともあり、乱雑に糸が絡まるようなイメージを表すこともあります。
絡まった糸はほどいて整理するのが大変な反面、入り乱れる様子が時に美しい光景を生み出すこともあります。無秩序さと美を同時に見出す場面を表現するのは、まさに「繚乱」という言葉が得意とすることですね。
「乱」の意味
「乱」は「乱れる」のように普段から用いられ、その意味は広く知られています。「乱雑」のように無秩序さを表す場合と、「動乱」のように騒ぎや混乱を表す場合があります。
「繚乱」という言葉においては、入り乱れ混乱するイメージを強調しています。見るものを混乱させ圧倒するような、無秩序さがもたらす迫力を表しているとも言えるかもしれません。
作品タイトルから読み取る「繚乱」の意味
「繚乱」が「美しさ」をも表すようになるには、人々がその意味を込めた表現をしてきたからです。ここでは「繚乱」の持つイメージをうまく取り込み、表現を受け取る人々にとっても「繚乱」が新たな意味を持つように働きかける力を持つ作品を一部紹介します。
華やかな女性が登場する作品
「百花繚乱」の華やかなイメージは、美しい女性が一堂に会した様子を表すことがあります。女性たちが入り乱れ物語を織り成すゲームや小説、映画は「繚乱」の圧倒的に煌びやかな様子という意味を有効に用いていると言えるでしょう。
例えば、2008年公開の映画『大奥 百花繚乱』は主人公たちの恋と、周囲をとりまく女性たちの思惑が交錯する物語です。大奥という絢爛豪華な環境と、女性たちの複雑な想いが絡み合う様子は「繚乱」の言葉が相応しいでしょう。
また、『百花繚乱 SAMURAI GIRLS』は可憐な女の子が武士として戦うライトノベルです。こちらは女性の華やかさと戦士の激しさをともに表現した「繚乱」と言えます。
和の雰囲気を持つ作品
「繚乱」は華やかさを表現する言葉であるとともに、「和」のイメージを強く持つ言葉としても使われています。前節で取り上げた2つの作品も実は日本の歴史をベースにした作品でした。音楽にも、日本的なテーマを表現したものに「繚乱」が使われる傾向があります。
リズムゲームに収録された曲である『繚乱ヒットチャート』は、ニヒルな歌詞とエネルギッシュな演奏が大正~現代の日本の若者が見せる熱い生き様をイメージさせる曲です。
また、松下倫士作曲の『管打8重奏楽譜 繚乱〜能「桜川」の物語によるラプソディ』は、日本の伝統芸能である能の物語をベースに作られた曲です。親子が苦難の末に再開する物語が、勇ましく、しかし時に安らかなオーケストラの演奏で表現されています。