「ハラスメント」とは?
「ハラスメント」とは「人を困らせること、いやがらせ」という意味を持つ言葉です。「ハラスメント」の語源は英語で「苦しめること、悩ませること、迷惑」の意味を持つ"harassment"から来ています。"harassment"は「困らせる、悩ます、攻撃する」という意味の動詞"harass"の名詞形です。
「ハラスメント」の定義
「ハラスメント」には様々な種類がありますが、「ハラスメント」として見なされるのは、相手を不快にさせたり、尊厳を傷つけたり、不利益を与えたり、脅威を与える発言や行動などです。その行為が意図して行われたかどうかに関係なく「ハラスメント」とされます。
「ハラスメント」の種類
「セクシャルハラスメント」
「セクシャルハラスメント」は「相手が不快に思い、尊厳を傷つけられたと感じる性的発言や行動」のことを指します。「セクハラ」と略され、性行為を強要する、性的なことや容姿、身体のことについて質問する、卑猥な言葉をかけるなどの事例があります。
主に異性に対して行われるものを対象としていましたが、平成26年に改正された規則では同性に対するものも含まれるとされました。
「パワーハラスメント」
「パワーハラスメント」は「職場などで、職務上の地位や人間関係などの優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、相手に精神的・身体的苦痛を与えたり、職場環境を悪化させたりする行為」のことを意味します。「パワハラ」と略されます。
罵声を浴びせる、強制退職をちらつかせる、無理難題を与え低評価をつけるといった事例があります。上司から部下に対してだけでなく、先輩・後輩、同僚間、部下から上司に対する行為や、顧客や取引先によるものも含まれます。
「モラルハラスメント」
「モラルハラスメント」とは「暴力を振るわず、言葉や態度で嫌がらせをし、いじめること。精神的暴力。精神的虐待。」を指す言葉です。「モラハラ」と略されます。
「モラル」とは「倫理」や「道徳」といった意味を持つ言葉です。相手を無視する、暴言を吐く、睨みつける、精神的に傷を負わせて会社を辞めなければならない状況に追い込む、不機嫌な態度をとり続けるといったものがあります。
「アカデミックハラスメント」
「アカデミックハラスメント」とは「大学内で、権力や地位を利用して教員や学生にいやがらせをすること」を指す言葉です。「アカハラ」と略されます。
学術に関係ない人格否定をする、達成不可能な課題を与える、正当な理由なしに論文の受け取りを拒否する、研究活動や教育指導での妨害、退学・退職の強要といった事例があります。
「ジェンダーハラスメント」
「ジェンダーハラスメント」とは「性別に関する固定観念や差別意識に基づく嫌がらせ」などを指します。「ジェンハラ」と略されます。例としては「女のくせに料理ができないのか」とか「男のくせに弱虫だ」といった発言があげられます。
「アルコールハラスメント」
「アルコールハラスメント」とは「アルコール、お酒によるいやがらせ」のことを指します。「アルハラ」と略されます。例には無理矢理お酒を飲ませる、一気飲みを強要する、意図的な酔い潰し、酔った状態での迷惑な発言・行動などがあります。
「マタニティハラスメント」
「マタニティハラスメント」とは「妊娠や出産、子育てに関するいやがらせ」を意味する言葉です。「マタニティ」とは英語で「妊婦」を意味する"maternity"のことです。
妊娠を理由に退職や降格させる、育児休暇を認めないといった事例があります。「マタニティハラスメント」は和製英語で、英語で正しくは"Pregnancy discrimination"と言います。