「銭湯」とは?
「銭湯」とは「入浴料を取って一般の人を入浴させる浴場、公衆浴場」のことを意味します。「風呂屋」や「湯屋(ゆや)」とも言います。
「銭湯」は仏教伝来の際に、僧侶が身を清めるための浴堂が寺院に設置され、仏教の布教活動として庶民に功徳風呂という入浴を施したことが始まりです。
銭湯の歴史
江戸時代になると、蒸気浴という蒸し風呂タイプの「風呂屋」と、浴槽に湯をはってつかる「湯屋」が広く親しまれるようになりました。当時は経営的に男女別の浴場を作ることが困難だったため、男女混浴で浴衣などを着用していました。
太平洋戦争後、都市人口の増加に伴って銭湯の数も増えていきます。昭和40年頃には約2万2000軒を数えるようになったと言われています。
近年では住宅事情が改善され、内風呂が普及したことで銭湯が減ってきました。しかしその一方で、自治体がサービスを提供する「コミュニティー銭湯」や、娯楽性のある「スーパー銭湯」などが登場しています。
「銭湯」と「温泉」の違い
「温泉」は「地熱のためにその土地の平均気温以上に熱せられた地下水。またそれを利用し、入浴する施設のある所」を意味します。
温泉法(温泉の保護や適正利用等を定めた法律)では、地中から湧出する温水、鉱水および水蒸気等で25度以上のもの、もしくは特定の溶存物質が一定値以上含まれているものを指します。
つまり自然に湧き出た湯やそれを使った入浴施設が「温泉」、人工的に作られた浴場は「銭湯」となるわけです。
「銭湯」と「スーパー銭湯」の違い
「銭湯」と聞くと古くてこじんまりとしたものを想像し、「スーパー銭湯」と聞くと比較的新しく大きなものをイメージする人も多いかと思います。
「銭湯」と「スーパー銭湯」の明確な違いは値段にあります。「銭湯」は法律により入浴料金に上限が定められています。内風呂がまだ普及してなかった時代に、庶民が入浴するため通っていたのが「銭湯」でした。人々が清潔感を保つため日常的に入浴できる必要があり、そのために「銭湯」の価格統制が行われたのです。
「銭湯」の英語表現
「銭湯」を英語で表すと"public bath"となります。「公衆浴場」を意味する言葉です。大きくてたくさんの人が入る浴場の意味で"bath house"という表現も使うことができます。
東京で人気の「銭湯」
「蛇骨湯」
「蛇骨湯」は浅草にある銭湯で、江戸時代からの歴史があります。古生代の草木の葉の成分が地下水に溶け込んだ黒褐色の「黒湯」が特徴です。電気風呂やサウナ、屋内露天風呂なども楽しめる、外国人にも人気の高いレトロな銭湯です。
「富士見湯」
「富士見湯」は昭島市にある22時間営業の銭湯です。休憩室には7000冊もの漫画が揃っており、ビールやつまみを楽しみながら、ゆっくりすることができます。浴場の壁画には招き猫や富士山、鳳凰など開運を招くありがたいモチーフがたくさん描かれています。
「大塚記念湯」
「大塚記念湯」は豊島区にある銭湯です。先代が考案し特注で作らせたと言われる、脱衣所の天井に描かれた宇宙空間の絵がとても印象的です。寝風呂、ジェットバス、薬風呂など様々な種類のお風呂があり、ゆっくりと疲れを癒すことができます。
「ふくの湯」
「ふくの湯」は文京区に位置し、細部までこだわり抜かれたデザインが人気の銭湯です。六角形のカランやモザイク絵が目を引く芸術的な浴場は、ペンキ絵界の巨匠丸山清人氏と中島盛夫氏の作品を同時に楽しむことができる贅沢な空間になっています。男湯と女湯が一週間で入れ替わるので、どちらの湯船もアートも味わうことができます。