「王道」とは?意味や使い方を対義語を含めてご紹介

「王道のラブストーリーだったね」というふうに使ったり聞いたりする「王道」という言葉ですが、実は2通りの全く違う意味や言葉の由来があります。皆さんは正確に使えていますでしょうか?今回は「王道」の意味や使い方を対義語も含めて解説します。

目次

  1. 「王道」の意味
  2. 古代中国で説かれた「王道」
  3. アケメネス朝ペルシアの「王道」

「王道」の意味

「王道」には以下の2つの意味があります。それぞれの言葉の由来も違います。

  • 君主が仁徳をもって国を治めること。またはその治め方。
  • 安易な方法。楽なやり方。近道。

古代中国で説かれた「王道」

「王道」の最初の意味。それは中国の儒教の理想とされる政治思想に始まります。

君主が仁徳をもって国を治める政治のこと。

王道とは本来、徳のある王が行う文治政治(武力によらず、学問による教えや法令によって世の中を治める政治)のこと。これが儒教家の理想とする政治思想であったため、転じて

  • 最も正統的な道(正統派・オーソドックス)
  • 物事が進むべき正当な道(正道)
という意味も持つようになりました。現代ではさらに派生して、欠点のない基本的な方法や手段(正攻法・定石・定番)」という意味でも使われるようになっています。

【使用例】
  • 「ヒット商品を出すには王道(正攻法)で行くしかないね」
  • 「ミステリーの王道(正統派)といった作品ですね」
  • 「最後はやっぱり王道(正攻法、定石)で来たかあ」

対義語

「覇道」とは、徳(仁義)を軽んじて、武力や策略などによって国を治めること。またその治め方のことです。

本来の意味である「王道」に対しては「覇道」が対義語になりますが、転じた意味である「正道」に対しては「邪道」という言葉が対義語となります。

「王道」と「覇道」の対比

元々、王(王者)は中国の殷周時代の諸侯に君臨した権威者で、覇(覇者)は春秋戦国時代の諸侯を支配した実力者のことでした。

戦国時代中期。当時は覇道の政治であったため、それを憂いた孟子(思想家)が、仁義を重んじる儒教の政治思想を表すために王道」を用い、その反対概念として「覇道」をおきました。「王道」と「覇道」を明確に対比させたのは、孟子が始まりだとされます。
 

孟子曰く、力を以て仁を仮(か)る者ものは覇たり。覇は必ず大国を有(たも)つ。徳を以て仁を行う者は王たり。王は大を待たず。

(孟先生いわく、仁義を装って武力に依る者は覇者だ。だから覇者は必ず大国を有している。徳によって仁義を実践する者は王者だ。王者は大国を必要としない)

『孟子』公孫丑上より

儒教やその政治思想が中国から伝わってきた日本では、王は天皇、覇は武家政権(源氏、北条氏、織田氏、豊臣氏、徳川氏など)と解釈され、明治維新の尊王論などにも影響を与えました。

関連語

  • 王政…国王、帝王が行う政治のこと。
  • 王道楽土…王道によって治められていて、安楽な生活が送れる平和な国土や土地のこと。
  • 君主制(君主政)…君主(特定の1人)が存在する国家、またはその君主が主権者である政治形態。

アケメネス朝ペルシアの「王道」

「王道」のもう一つの意味は、紀元前5世紀ころ、アケメネス朝ペルシア帝国のダレイオス1世によって建設された「王の道(Royal Road)」という公道を由来とするものです。

この道は首都スーサから目的地であるサルディスまでを、容易なルートかつ最短距離でつなげる幹線道路として機能をしていました。

つまり「王の道」は、最も最短で行ける道、普通の道よりも楽に進める道、だったのです。このことから転じて「王の道=王道」「安易な方法」「楽なやり方」「近道」という意味で使われるようになりました。

【使用例】

  • 「お金儲けに王道(楽なやり方)なんてないよ」

学問に王道なし

「学問に王道なし」とは、「学問をするのに容易な方法はない」ということ。エジプト王プトレマイオスに「もう少し簡単に幾何学を学ぶ方法はないか」と聞かれたユークリッド(ギリシャの数学者)が答えた、「幾何学に王道なし」という言葉に由来します。

英語では以下のように表記します。

  • There is no royal road to learning.
  • There is no easy to learning.

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