「アナーキー(anarchy)」とは?意味や使い方をご紹介

「アナーキー」とは、本来は政治思想に関係した言葉ですが、現在では人気のラッパーやTVドラマのタイトルを思い起こす方も多いのではないでしょうか?そのような幅広い使い方が可能な「アナーキー」の、詳しい意味や使い方を解説していきます。

目次

  1. 「アナーキー」とは
  2. 本来の「アナーキー」
  3. 現在の「アナーキー」
  4. 「アナーキー」に近い意味の言葉
  5. これも「アナーキー」

「アナーキー」とは

アナーキーとは英語の"anarchy"をもとにした外来語で、直接の意味は「無政府状態」のことを指します。語源はギリシャ語で「指導者がいない状態」を意味する"anarchos"から派生した"anarchia"です。"anarchos"は否定の意味の"an"と指導者の意味の"arche"から構成されています。

同じ語源を持つ英語に"anarch"というのもあり、こちらは「(暴力的な)反乱指導者・無政府主義者」を意味します。

本来の「アナーキー」

無政府状態といっても、分かりづらい部分もあるかと思われますので、少しずつ解説していきます。

アナーキズムを持った人物がアナーキストで、アナーキストが実現しようとするのがアナーキーな社会(無政府状態)、という関係になります。

アナーキズム

無政府主義の考え方・哲学のことをアナーキズムと言います。基本的には、国家を含む一切の権威を否定し、個人主体の独自性を主張するといった特徴があります。そして、個人の自律性を、社会の枠組みの中に確立することを目指します。

ですが、実現の手段として、テロリズムや直接行動と結びつき、アナーキズム=過激思想と捉えられるようになります。

アナーキスト

アナーキズムの考え方・哲学を持った人物のことをアナーキストと言います。

『政治的正義』(1793年)で知られるW・ゴドウィンは、アナーキズムに哲学的な色彩を与えたとされています。一方、国家と権威の否定をより強力に叫び、その行動に過激さを加えたのが19世紀ロシアのバクーニンであり、クロポトキンです。彼らの考えは、日本にも影響を与えました。

日本のアナーキストとして有名な人物では、幸徳秋水(こうとく・しゅうすい)が挙げられます。クロポトキンの思想から強く影響を受け、直接行動派と呼ばれました。1910年の大逆事件で検挙、処刑されました。

現在の「アナーキー」

ここまでは、一昔前のお話でした。現在では「無政府主義」と言っても、日常からは遠く、あまり一般的ではなさそうです。「アナーキー」ももう少し解釈を進めて、本来とは違った意味を持つようになりました。
 

  • 社会的な混乱、無秩序のこと
  • めちゃくちゃな状態、暴力的な行動のこと

日常会話で使われる場合には、ほぼこの意味だと考えてよいでしょう。

使用例・現代版

  • 『北斗の拳』のアナーキーな世界観は、当時の若者には刺激的だった。
  • 彼のファッションや言動は、なかなかアナーキーだね。
  • アナーキーな人生を送った人物は、往々にして早世している。

「アナーキー」に近い意味の言葉

武器をもって国家権力に敵対するなど、暴力的なイメージから

「反政府」「反社会」「過激派」「反民主主義」

もう少し軽い意味で

「めちゃくちゃ」「はちゃめちゃ」「無謀」「無規律」「乱暴」「乱雑」「猥雑」「支離滅裂」「ワイルド」

これも「アナーキー」

本来の政治思想からは離れ、普通とは違う、常軌を逸したスタイルのかっこよさをアナーキーという言葉で表現することもあります。いずれも悪(ワル)の魅力にあふれているのではないでしょうか?

ラッパー・ANARCHY

京都出身のラッパーで、自身の生い立ち(貧困や両親の離婚など)を生々しくラップにして、多くの人の共感を得ました。映画やTVドラマには主に自身の役で出演しています。

ロックバンド・アナーキー(亜無亜危異)

1978年に結成された、日本のパンクロックバンドです。1980年にメジャーデビューを果たすと、攻撃的なリズムとパンクロックならではの反抗的な歌詞で、一気に人気バンドとなりました。現在でも熱烈な支持者が存在します。

サンズ・オブ・アナーキー

2008年に放映が開始されたアメリカの人気TVドラマシリーズです。カリフォルニアの架空の都市を舞台に、無法ながら人間味のあるバイカーたちの活躍を描いたストーリーです。

アナーキー・イン・ザ・UK

1977年にリリースされた、イギリスのパンクロックバンド・セックスピストルズの曲です。パンクロックのアンセム的な曲として、数多くのカバーが存在します。歌詞の一部(意訳)を紹介してみましょう。
 

(望むものを)手に入れる方法なんて山ほどあるのか?
一番の方法を使ってやる、最後の手段も使ってやる
敵だって利用してやる、めちゃくちゃな手でやってやるさ
だって俺はアナーキーになりたいんだから

近年では2018年の映画『パンク侍、斬られて候』の主題歌としても使用されました。

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