「後生」とは?意味や使い方をご紹介

「後生」は「ごしょう」か「こうせい」と読みます。読み方によって意味も変わり、「ごしょう」の場合は「生まれ変わった後の来世」です。また、「後生だから…」など願いごとの強調表現にもなります。「こうせい」の場合は「後から生まれてくる人」などの意味に変わります。

目次

  1. 「後生」とは?
  2. 「後生」の由来
  3. 「後生一生」
  4. 「後生大事」
  5. 「後生は徳の余り」

「後生」とは?

「後生」には2つの読み方があります。「ごしょう」と「こうせい」です。読み方が違うと使い方も異なるので、ここでは分けて説明します。

「後生(ごしょう)」の意味

「後生」は多くの場合「 ごしょう」と読みます。この記事では主にこちらを扱います。元々仏教の言葉で、意味は大きく2つに分けられます。

1つ目は「生まれ変わった後の来世」あるいは「生まれ変わることそのもの」です。特に、「極楽浄土に生まれること」に限定して使われる場合もあります。

2つ目は誰かにお願いをする時などに強調の意味で使われます。

使用例

  • 「袖振り合うも多生の縁という言葉もあるし、後生でもこうして仲良くできたらいいな。」
  • 清廉潔白な人であったから、祖父は後生に行けたのだろう。
  • 「後生だから何卒お助けを。」

「後生(こうせい)」の意味

「後生」を「こうせい」と読む場合、2つの意味があります。

  1. 後から生まれてくる人。後の世の人。
  2. 後から学ぶ人。後輩たち。
なお、間違えやすい言葉に「後世」があります。こちらは「自分たちの生きる時代の後にくる時代」という意味です。「後世の人」=「後生」となります。

使用例
  • 「昔の人たちも今の若者と同じように悩んだのだ。後生もそれは変わらないだろう。」
  • 「先達(せんだつ)に学べば後生の君たちもすぐに強くなれる。努力が肝心だ。」
  • 後生畏るべし。(若者はどこまで力をつけるかわからないので恐れなければならないという意味。『論語』より)

「後生」の由来

仏教では、人は死んだ後に別の世界に生まれ変わると考えています。生まれ変わる世界は、生前の行いによって6種類の内の一つに決まります。その世界とは良い方から天、人間界、修羅、畜生、餓鬼、地獄で、これらをまとめて六道といいます。

有名な閻魔大王の裁判で、生まれ変わる先が六道のどれかに決まるのですが、この6つの世界は多かれ少なかれ苦しみを伴います。

それに対し、「極楽浄土」は六道とは別にある苦しみのない世界です。この世界に行くことが仏教における解脱(げだつ)です。そして、今の人生から生まれ変わった後の人生のことを元々「後生」と呼んでいました。

「後生一生」

「生まれ変わったとの来世」を意味する「後生」から生まれた言葉に「後生一生」があります。「後生一生」には「現世と来世を通してただ一回だけ」という意味があります。

上記の、誰かにお願いをする時などに強調の意味で使われる「後生」は、元々この「後生一生」が短縮された形であるとも言われています。また、「一生のお願い」などに使われる「一生」も、この「後生一生」が変化した言葉と考えられています。

「後生大事」

「後生大事」は「とても大切にすること」という意味で使われます。「後生」での幸福を願って仏教の信仰に励む様子に由来します。「後生を大事に信仰している」から「後生大事にしている」と変わったようです。

現在では「何かをいつまでも大切にする」という意味で用いられます。必ずしも良い意味とは限らず、執着している様子や進歩のなさをからかっていることもあります。

「後生は徳の余り」

「後生は徳の余り」とは「死後のことを考えられるのも、今の生活で心配するようなことのない豊かな暮らしあってのもの」という意味です。同義語は「信心は徳の余り」です。

また、類義語に「衣食足りて礼節を知る」という言葉があります。こちらは「物質的な不満が解消されて初めて人は礼儀作法を考慮する」という意味です。古代中国の『管子(かんし)』の言葉です。


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