塩梅の意味とは
塩梅「あんばい」とは
- 程よく配置したり処置したりすること。程合いを加減すること。
- 食物の味加減を調えること。また、よい加減であること。
- 物事の具合、様子、恰好。特に、体の具合。健康状態。
塩梅の語源
「塩梅」の本来の読みは「えんばい」でした。塩と梅酢を合わせた調味料を意味していましたが、その味加減が良いものを「塩梅・えんばい」と言うようになりました。元々の「あんばい」は「按排」でしたが、「上手く処置する、具合よく並べる」という意味が「塩梅」と似ていたため、混同されるようになりました。日本での混同は中世頃からと考えられていますが、中国ではさらに古い時代から混同されていた例があるそうです。
塩と梅酢を合わせた調味料を現在では、「加減酢」「塩梅酢」「三杯酢」と呼んでいます。みりん・酒・砂糖・香辛料などを加え調味したものが一般的に売られています。
塩梅の使い方
- 塩梅のいい魚の煮つけ。
- 母の料理は塩梅がちょうどいい。
- 雨の日は体の塩梅が特に悪い。
- 草野球のメンバーがいいあんばいに揃っている。
- 店先の果物をうまく塩梅する。
塩梅の類語
- 調子
- 加減
- 塩加減
- 具合
四字熟語 和羹塩梅とは
和羹塩梅「わこうあんばい」とは「主君を補佐してうまく国を治める有能や宰相のこと」です。「和羹」とは
- 様々な材料や調味料を合わせて作る吸い物
- 君主を助けて天下を宰領すること。また、その人。宰相。
塩梅の臣
塩梅の臣「えんばいのしん」とは、君主を助けて政務をうまく処理する家臣のことを言います。和羹塩梅から派生した言葉です。あまり使うことは無い言葉ですが、足を引っ張るような政治家ばかりではなく「塩梅の臣」が居てくれたら総理大臣もやりやすいのではないでしょうか。
雅楽の奏法 塩梅
雅楽器の篳篥「ひちりき」の特徴的な奏法を塩梅と呼びます。同一の指使いで、リードのくわえ方や吹き込む息の強弱によって音高を変化させるものです。日本の楽器の1つで、能の囃子に使われれる管楽器「能管」では、瞬間的な装飾技法を「塩梅」と言います。雅楽特有の「ヒョロー」とした強弱は「塩梅」から奏でられているのですね。
塩梅音
声明 (しょみょう)とは梵唄ともいわれる真言や経文などに節をつけて唱える仏教儀式の古典音楽のことです。声明には、宮(きゅう)・商(しょう)・角(かく)・徴(ち)・羽(う)という音階のような五音があります。五音の中で商と羽は、塩梅音(えんばいおん)と呼ばれ不安定な音位になのですが、そこから声明独特の幽玄味が出るそうです。協和音と不協和音をちょうどいい加減で出すことで、洋楽では表せない音となります。
塩と梅は日本人には欠かせないもの
「塩」「梅」は日本の生活に密着したものです。塩はほとんどの料理に使う調味料で、米と野菜中心だった日本の食生活において塩分摂取のために欠かせないものでした。そのため、「塩」を使った言葉はたくさんあります。「塩分」「塩蔵」「塩害」「塩田」など数えきれませんね。また、「塩」の意味は皆さんご存知の通り調味料以外に「苦労、辛苦」の意味も持ちます。
- 塩を踏む
- 塩をなめる
「梅」は松や竹とともに、めでたい植物とされ、春を告げる花として古くから愛されています。花見というと現在では桜ですが、その昔は梅でされていたことでもわかりますね。