「個所」とは?意味や使い方を表記の違いを含めてご紹介

文章に「かしょ」とという言葉を記すことがよくありますね。パソコンでは文字変換に「個所」「箇所」「ヶ所」と候補が出て、どれを使うのが適切なのか迷うことがあるのではないでしょうか。今回は「個所」の意味や使い方と、「箇所」「ヶ所」との違いについてご紹介します。

目次

  1. 「かしょ」の意味
  2. 「個所」の使い方
  3. 「箇所」の使い方
  4. 「か所」「ヶ所」「カ所」の使い方
  5. なぜ「箇所」と「個所」が混在して使われたのか?

「かしょ」の意味

「かしょ」には主に2つの意味があります。

  • 特定された、ある部分や場所のこと
  • 特定の部分や場所が複数ある場合に、その数を「かしょ」の前に付して、その対象の数を示す

「かしょ」という言葉は、「個所」や「箇所」、「か所」「ヶ所」など様々な表記が用いられます。いずれも表している意味は同じなのですが、これらは非常に微妙なニュアンスによって使い分けられています。

「個所」の使い方

「個所」は、問題となっているまさにその場所のことを指す場合に用いられることの多い表記です。

  • この地域のなかでも南の個所では、工業がとくに盛んだ
  • 気になるところが一個所ある

「個」の字は、「個人」や「個別」「個体」というように、「1人の人」「1つの対象」といった意味を持っています。「個所」は、「全体の中のまさにその場所」「全体の中のうちの1つ」というように、ある範囲の中の一部分を指し示すのに使われる傾向があります。

「箇所」の使い方

「箇所」と「個所」は同じ意味の言葉ですが、「箇所」が用いられるのは、特定の対象を数える場合や、ある対象が存在している場所を指し示す場合です。

  • 建物調査の結果、危険箇所が明らかになった
  • この書類の中に、誤字脱字が三箇所あった
  • 不具合のある箇所がないか、念入りにチェックしている

「箇条書き」「五箇条の御誓文」といったように、「箇」は複数の対象があることを表す場合に用います。「箇所」と同じ意味で「箇処」と書くこともありますが「箇所」の方がより一般的です。

また公用文では、漢字(漢数字を含む)に付くときは「箇」を用いると定められています。上記例文の「危険+箇所」「三+箇所」が具体例ですね。

「か所」「ヶ所」「カ所」の使い方

「か所」「ヶ所」「カ所」「ケ所」は、いずれも「かしょ」と読む言葉でよく使われています。

これらは数字とセットで用いられる表現で、複数の対象を示したい場合に記されます。また、いずれも表現の仕方の場合も、表している意味は同じです。

ただし現在メジャーとなっているのは「か所」という表記です。教科書では「ヶ」や「ヵ」は用いず、「~か所」という表記に統一しています。また公用文では、算用数字に付くときは「か」を用いると定められています。

「ケ所」「カ所」

「ヶ」と「ケ」の字は、実はカタカナではありません。「箇所」の略字である「个」という字、あるいは「箇」のタケカンムリを1つ採って、それを符号的に「ケ」と記したものだと言われています。

「カ」に関しては、「ケ」はカタカナとしては「カ」と読まない字であり、「カ」と記す方がよいのではないかという理由から用いられるようになりました。

つまり、「かしょ」の表記に使われている字は、理由や意味がきちんとあるものと、本来の意味よりも読み方の矛盾を修正しようと試みたものとに分かれているのです。

なぜ「箇所」と「個所」が混在して使われたのか?

「個所」と「箇所」は、ほぼ同様の意味を持つものとして辞書に記されています。しかし、公的にも「箇所」を用いるケースが主流となっていますので、「箇所」を用いるのがおすすめです。

この言葉の用い方には複雑な経緯があります。戦後に作られた当用漢字表には、「箇」の字に「か」の読みがあてられ、「個」の字にはそれがありませんでした。官公庁でも「箇所」を用いていましたが、当時の新聞やNHKでは「個」の字に「か」という読みを独自に認めて「個所」と表していたのです。

その後も「個」の読みに「か」と記載するかどうか、「箇」を削除して「個」とするかどうかが議論されたことがありましたが、変更されることのないまま現代に至っています。

そして、平成22年(2000年)に行われた常用漢字表の改訂をきっかけとして、新聞協会やNHKでも「個所」の使用を廃止し、「箇所」を用いることになりました。

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