「震え声」の意味
「震え声」の辞書的な意味は、「震えている声」です。ちょっと上ずったりしている声のことを指す言葉です。
しかし、ネットスラングとしての「震え声」は、単に声が震えている、以上の意味を持っています。
ネットスラングの「震え声」には、「自信のないことをあえて言う、間違っていることをあえて言う、無理だとわかっていることをあえて言う」という意味があります。「本来言うべきではないことをあえて言う」といった意味合いがあるのです。
なぜ、震え声になるのか
そもそも、人間の声が震える時とはどういう状況なのでしょうか。人は、極度の緊張や過度のストレスがかかると、声が震えます。この緊張はストレスの背景には、恐怖感や羞恥心があると言われています。
「震え声」には、このうちの羞恥心が強く影響しています。冗談を言ったり虚勢を張ったりするときに「震え声」を使うことで、「心にもないことをあえて言って恥ずかしい」という感情を表すことができるのです。
「震え声」の例文
自信のないことをあえて言う場合
- 「や……やれるだけやってみます……(震え声)」
- 「たぶん、大丈夫だと思います(震え声)」
間違っていることをあえて言う場合
- 「何言ってるんだ? 1+1=3だろ?(震え声)」
- 「ほら、俺って、イケメンじゃん……(震え声)」
- 「え? アラフォーなんですか? もっと若いと思ってました(震え声)」
無理だとわかっていることをあえて言う場合
- 「ほら、1万円あればヨーロッパ一周とかできるし(震え声)」
- 「今から全力でやれば、終電には間に合うんじゃない?(震え声)」
- 「まあ、このくらい楽勝だよ(震え声)」
「震え声」の使い方
ここまで例文で見てきたように、「震え声」を文章中に単語として使うことはほとんどありません。
「(震え声)」という風に表記して文章の最後につけることで、文章に対して「自信がない・間違っている・無理だ」というニュアンスを込め、「冗談である・本心ではない」という事を相手にほのめかす使い方をします。
「(笑)」や「(泣)」のように、文章の最後につけることで、言葉では伝えきれない心情を表現しているのです。また疑問文の最後に「(震え声)」を追加することにより、「冗談ですよね?」「本気で言ってるんですか?」という意味を持たせることもできます。
「震え声」の意外な語源
ところでこの「震え声」が「(震え声)」として文章の末尾につけられるようになったのには、意外な由来があります。
実は、「震え声」の初出は、ゲイビデオの金字塔『真夏の夜の淫夢』と同じ「Babylon」シリーズの一つ、『誘惑のラビリンス』という作品だと言われています。
この作品の中で、「見たけりゃ見せてやるよ」というセリフがあり、このセリフが実際に震え声で発音され、このセリフを文章化する際に末尾に「(震え声)」と表記したのが始まりです。
このように、「真夏の夜の淫夢」及び、その派生作品から生まれたネットスラングを「淫夢語」と呼ぶことがあります。
「震え声」まとめ
メールやSNSといった文字のみのやり取りは、声色や表情が伝わらないため、誤解されトラブルに発展することがあります。「(震え声)」は、本来声色や表情でのみ伝わる情報を文字で表すことのできる、便利なツールのひとつなのです。
みなさんも、この機会にぜひ「震え声」を活用してみてください。それにしてもこの記事、とても分かりやすいですね(震え声)。