「本末転倒」とは?
「本末転倒」とは「根本的で重要なことと些細でつまらないことを取り違えること」を意味することわざです。
「本末」とは物事の根本と枝葉のことを言い、大切なこととどうでも良いことを指します。「転倒」とはひっくり返ることを意味します。物事の重要な部分とそうでない部分がひっくり返ること、それが「本末転倒」です。
「本末転倒」の由来
「本末転倒」の由来は宗派の本山の寺院と、末端の寺院の立場が逆転してしまったことにあると言われています。
鎌倉時代に貴族達のための宗教が、庶民のための宗教へと変化していきました。そんな中で宗教の本山よりももっと身近な末端の寺院に人気が集まり、力をつけていきました。根本であった本山の寺院と枝葉の末端の寺院の立場がひっくり返ってしまったことから「本末転倒」ということわざが出来ました。
「本末転倒」の使い方
「本末転倒」は「物事の重要でない部分にこだわってしまい、根本の部分を見失ってしまうこと」を指して使われます。また「良かれと思ってしたことが逆効果になってしまったこと」という時にも使われます。
- 「学費を稼ぐためにアルバイトをしていたが、アルバイトに専念してしまい勉強が疎かになってしまって本末転倒だ」
- 「英語の勉強のためアメリカに留学しても、日本人とばかり話してしまっては本末転倒である」
- 「お金を稼ぐために寝る間も惜しんで仕事に取り組んでいたが、体を壊し入院してしまい本末転倒であった」
「本末転倒」の英語表現
「本末転倒」を英語で表すと"put the cart before the horse"となります。"cart"は馬車のことを指していて、「馬の前に馬車を置いてしまう」という意味です。
また「本末転倒」の意味から"misplace one's priorities"という言い方もできます。"misplace"は「置き間違える」で"priority"は「優先事項、重要であること」です。直訳で「優先事項を間違える」となり「本末転倒」を表すことができます。
「本末転倒」の誤用
「本末転倒」の誤用の例としては、準備していたものを忘れてしまった時に使うといったものがあります。
「重要なこととそうでないことが入れ替わること」が本末転倒なので、単純に「用意していたものが台無しになってしまった」という意味では使えません。「プレゼンの資料を用意しても、家に置いてきてしまったら本末転倒だ」という風に使うと誤りなので注意が必要です。
「本末転倒」の関連語
「主客転倒」
「主客転倒(しゅかくてんとう)」は「主と客の力関係が逆になること」、「物事の軽重、本末などを取り違えること」を意味する言葉です。「本末転倒」に近い言葉ですが、より広い意味を含んでるのが「主客転倒」です。
- 「上司と部下が対等に言い争う、主客転倒した議論に発展した」
- 「子供に勉強を教えるつもりが、逆に教わってしまったなんて主客転倒である」
「元も子もない」
「元も子もない」とは「すべてを失って何もない」ことを意味することわざです。投資によって利益を得るはずが、失敗して元金すら戻らないことから出来た言葉です。
「本末転倒」と混同されやすいですが意味は異なります。「本末転倒」は物事の重要性を取り違えてしまった時に使われますが、「元も子もない」は努力したものが無駄になってしまいすべてを失った時に使います。
- 「せっかく稼いだお金もギャンブルで使ってしまえば元も子もない」
- 「せっかく課題ができたのに提出日を忘れてしまったら元も子もない」