「サザエさん時空」とは?
「サザエさん時空」とは?
「サザエさん時空」とは、「季節や物語が進んでいるのに登場人物が年をとらない現象や空間」を指します。由来は、2019年に放送開始から50年を迎える国民的長寿アニメ『サザエさん』。この現象は、「磯野時空」、「サザエさん方式」、「サザエさん効果」とも呼ばれています。(例文:ギャグ作品にはサザエさん時空が多い。)
長期連載、長期放映の、特にギャグ作品にはサザエさん時空を採用している作品が多くあります。これには、「ターゲット層に合わせて登場人物の年齢を設定したのに、登場人物が年をとってしまうとターゲット層に受け入れられにくくなる」など、編集、製作側の都合があると考えられます。
「サザエさん」とは?
アニメ『サザエさん』の原作は新聞連載されていた4コマ漫画『サザエさん』で、作者は長谷川町子。連載開始は1946年で、掲載誌変更などを経て1974年まで続きました。新聞連載なので時事ネタも取り入れられていますが、世情が移り変わっても登場人物の年齢は変わりません。
テレビアニメ『サザエさん』は1969年からフジテレビ系列で放送開始してから2019年で50周年を迎え、世界で最も長く放送されているテレビアニメとしてギネス世界記録に認定されています。放送開始当時から放送枠は日曜日の夜6:30で、生活に根ざした作品となっています。
「サザエさん時空」の崩壊
この「サザエさん時空」を逆手に取ったテレビCMが放送されたこともあります。江崎グリコのCMで、25年後の磯野家を描いた実写作品。カツオ役に浅野忠信、ワカメ役に宮沢りえ、タラオ役に瑛太、イクラ役に小栗旬がキャスティングされ、すっかり大人になった彼らの姿が見られました。
「サザエさん時空から飛び出した彼らを見てみたい」と思うのも、彼らが長年サザエさん時空で生きたからこそ。サザエさん時空を崩壊させたこのCMは、大変話題になりました。
「サザエさん」に由来する言葉や名称
サザエさん症候群
「サザエさん症候群/サザエさんシンドローム」は、いわゆる「ブルーマンデー」のこと。
日曜日の夜6:30に『サザエさん」が始まると、休日の終わりと明日からの学校や仕事のことを考えて憂鬱になる症状のことです。長年、同じ放送枠で放映されたことで、国民の生活に根ざした作品になった証といえるでしょう。
マスオさん
「マスオさん」とは、サザエの夫、マスオのように、嫁の実家に同居する男性のことです。妻(サザエ)は、嫁ぎ先で暮らすのと違って気兼ねなく過ごせますし、自分(マスオ)と舅(波平)は昼は別々の仕事に出るので、顔をあわせる時間が少なく、その分、ストレスも少ないと考えられます。
入り婿ではないので、自分の両親や縁者の理解も得られやすく、また、妻の両親も娘が家に残ってくれる安心感があります。生活費を節約したり、育児を手伝って貰ったりとメリットが大きいので、現代社会、特に地価や生活費が高くつく都市部においては、理想的な生活体系と言われています。
「サザエさん通り」
原作『サザエさん』の舞台となった東京都と福岡県には、「サザエさん通り」という名の通りがあり、地域活性に一役買っています。
- 福岡県のサザエさん通り:福岡タワー前交差点〜博物館前交差点、そこから東に進んで西新通り交差点〜脇山口交差点の間の市道につけられた愛称
- 東京都のサザエさん通り:東急田園都市線の桜新町駅の駅前から国道246号へ伸びた「中通り」が、桜新町商店街振興組合の働きかけで改称
「サザエさん時空」のまとめ
「サザエさん時空」は、他の漫画やアニメに対しても使われたり、「私たちはサザエさん方式で年をとらないから」と他作品の台詞にも使用されるなど、『サザエさん』が生活に浸透した作品だから生まれた言葉でした。
サザエさん一家がサザエさん時空にいるからこそ、親から子、子から孫へと、この作品を文化的背景として共有できるのです。