「他山の石」のとは?意味や使い方を由来を含めてご紹介

「他山の石」という言葉、みなさんはご存知ですか?この言葉は、実は知らない人より、知っていると思った人のほうが危険な可能性がある言葉かもしれません。それは一体どういうことなのか、「他山の石」の意味や使い方などと一緒に詳しくご紹介していきます。

目次

  1. 「他山の石」とは
  2. 「他山の石」意味
  3. 「他山の石」の由来
  4. 「他山の石」使い方
  5. 「他山の石」の誤った使い方
  6. 「他山の石」を間違う理由
  7. 「他山の石」のまとめ

「他山の石」とは

「たざんのいし」と読みます。この言葉は、文化庁の調査で、間違った意味で使用している人が実に2割にも達していた、非常に間違いやすい言葉です。では、本来使われるべき正しい意味を見てみましょう。

「他山の石」意味

「他山の石」の意味は、他人の誤った言動も自分の成長の助けになり得るという意味と、自分と関係のない事柄でも、活用できれば自分を向上させることが出来るということを意味しています。

「石」には、「つまらないもの」や「ありふれたもの」といった意味もあります。「人の振り見て我が振り直せ」や「人を以(もっ)て鑑(かがみ)と為す」と、意味が似ていますね。

「他山の石」の由来

「他山の石」は、中国最古の詩集である『詩経(しきょう)』の中の、次の一文が由来です。

“他山之石、可以攻玉。”
“他山の石以て玉を攻むべし(たざんのいしをもってたまをおさむべし)”

これは何を言っているのかと言うと、直接的な意味での「他山の石」は、よその山からでた粗悪な石のことです。「玉」は宝石のことを意味しており、「攻」という文字は、ここでは「みがく」という意味で用いられいます。つまり「よその山から出た粗悪な石で、自分の宝石を磨きなさい。」という意味です。

これが転じて「他山の石」は、他人の失敗や間違った言動を自分の教訓として役立たせることを意味するようになりました。

「他山の石」使い方

「他山の石」はどの様に使えばいいのでしょうか。例文を見てみましょう。

「他山の石」の例文

1.遊んでばかりの姉を「他山の石」として、受験勉強に励んだ。
2.他人を馬鹿にするのはいい加減にして、「他山の石」とするべきだ。

「他山の石」の引用

1.“鏡花を読み了えた〔改造社版日本文学全集ノ内〕。益するところがあった。是も他山の石。”(青べか日記――吾が生活 し・さ:山本周五郎)

※青空文庫出典

例文からは、他人の失敗や欠点を教訓にして、反省したりそこから学びを得ようという前向きな姿勢が感じられます。さらには、自分と接点のない事柄からも学びがあれば、それを「他山の石」として感謝しているようにも捉えられます。目に見えるもの全てに、自分を向上させるヒントが隠されているのかもしれませんね。

「他山の石」の誤った使い方

次は、「他山の石」の誤った例文です。

“先生の教えを「他山の石」として、一生懸命努力します。”

一見、先生に敬意を表しつつ自分の努力を誓っている、とても素晴らしい文章に思えます。しかし、思い出してください、「他山の石」の意味は、他人の失敗や言動を自分の成長のために役立てることです。そうなると、この文章は「先生の粗悪な教えを教訓にして、一生懸命努力します。」と、言っているのと同じなのです。

文法的には成り立っていますが、先生という目上の人に対してとても失礼ですね。

「他山の石」を間違う理由

どうして「他山の石」は間違って使われてしまうのでしょうか。

他の山から取れる石のほうが、良い石かもしれないから。

「他山の石」そのものの意味は、どこにでも転がっている粗悪な石のことを指します。しかし、間違って使っている人は、自分の山の石より、他人の山で取れる石の方が良質な良い石だと勘違いして覚えているのかもしれません。

悪いところではなく、良いところから教訓を得ようとしているから。

「他山の石」という言葉の目的は他者から教訓を得ることにあります。しかし、ここで重要なのは「良い言動」からではなく、あえて「悪い言動」から教訓を得ることにあります。ここを間違って覚えてしまうと、使い方も間違ってしまいます。

普通に考えると、善い行いをしている人の方が、自分を向上させるための参考になるところが沢山ありそうです。しかし、「他山の石」を通して言いたいことは、人の失敗や、くだらないと思われる事柄にも、自分を成長させる要素があるかもしれないから、視野を広げなさいということです。だから、ここではあえて「悪い言動」なのです。
 

単語としての「他山の石」と、慣用句としての「他山の石」。

単語としての「他山の石」と、慣用句としての「他山の石」では、意味が違います。なので、これらを混同すると間違ってしまいます。

・単語の「他山の石」→教訓にすべき他人の悪い言動
・慣用句の「他山の石」→他人の悪い言動を教訓にすること
 

「他山の石」を間違って使わないためには、目上の人に対して使わないことと、他人が粗悪な石をもっていて、自分が宝石を持っているイメージを忘れない様にしてください。

「他山の石」のまとめ

いかがでしたでしょうか。「他山の石」の意味や使い方をご理解いただけましたか。他人の良いところだけではなく、悪いところや自分と無関係なところにも学ぶべきことはある、と教えてくれている「他山の石」という言葉、正しい意味できちんと使っていきたいですね。

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