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「頭隠して尻隠さず」の意味
「頭隠して尻隠さず」は自分では隠したいことをすべて隠したつもりでいても、一部分しか隠れておらず他の部分が丸見えになっている様子のこと。悪事や欠点などを全部隠したつもりでいても、隠しきれていないことに気づかずに平気でいる愚かさを例えています。
「頭隠して尻隠さず」の例文と使い方
- ダイエット中だって言ってたのにポテトチップス食べたでしょう?袋は見当たらないけど、こたつ布団の下にかけらがおちていたわよ。まったく、頭隠して尻隠さずなんだから!
- 勤務時間中に私用で調べ物をしないでください。えっ?してないだって?確かに今見ているページは仕事用のものだろうが、頭隠して尻隠さずで、しっかり検索履歴が残っていますよ。
- 廊下に猫用のトイレの砂が散乱していたよ。犯人はミミだね。頭隠して尻隠さずで、こたつからミミの尻尾が出ているよ。
「頭隠して尻隠さず」の由来
「頭隠して尻隠さず」は、元は人間の行為ではなく、雉(きじ)の行為について表現されたものだったという説が有力です。
雉には長い尾があります。敵に見つからないように草むらに頭を隠したところで長い尾が丸見えなのですが、雉はそれに気づかずにいる、という様子から連想されたことわざだと言われています。「雉の草隠れ」という同じ意味の表現もあります。
また読み方ですが、元は「頭(かしら)隠して尻隠さず」という言い回しが主流で、「頭(あたま)隠して尻隠さず」という読み方は、1797年のことわざ集『諺苑』辺りから見られるようです。
「頭隠して尻隠さず」といろはかるた
「頭隠して尻隠さず」は、『いろはかるた』の江戸系の「あ」として多く採用され、そこから広く知られるようになりました。
前述のように元は雉の行為を表現したものだという説が有力ではあるのですが、いろはかるたにおいては雉の絵柄は採用されていません。江戸時代、明治時代のいろはかるたは、ふんどしをした尻を丸出しにして、幔幕(まんまく:式場などに長く張り巡らす幕)に入り込もうとしている絵柄が多く見られます。
戦後のいろはかるたには、風俗や価値観の変化に伴い、ふんどし姿の絵柄は見られなくなりました。戦後のいろはかるたを見てみると、銃を片手に犬を連れて様子をうかがっている人物がおり、その手前の洞穴に頭を突っ込んだキツネと見られる太い尻尾が丸見えになっている絵柄などが描かれています。
「頭隠して尻隠さず」の類義語
- 柿を盗んで核を隠さず
- 団子隠そうより跡隠せ
- 蚤の隠れたよう
- 身を蔵し影を露わす
また、「頭隠して尻隠さず」は、隠したことがうまく隠れておらず、初めから見破られている場合に使われますが、「尻尾を出す」「馬脚をあらわす」「化けの皮がはがれる」などは、最初はうまく隠すことができていたものの、後に正体が露見する場合に使われます。
「頭隠して尻隠さず」の英語表現
- The foolish ostrich buries his head in the sand thinks he is not seen.(愚かなダチョウは頭を砂の中に埋めて他から見えないと思っている)
- You dance in a net and think nobody sees you.(網の中で踊っていれば、誰からも見えないと思ったら大間違いだ)
セネガルのことわざ
セネガルには以下のようなことわざがあります。
- 穴に最初に入っても、尻尾が外に残っている