「杖」とは?
「杖」とは地面について歩く助けにする棒のことです。歩行の助けにする他、武器として使用する、権威や権力の象徴、ファッション目的の物もあります。
また、歩く時助けにするので、助けになるものや支えになるものをたとえて指すこともあります。
「杖」の使い方
「杖」
杖はもっとも一般的な表現です。地面についてあるく棒であればすべて「杖」と呼ぶことができます。
杖を使った慣用句を以下に紹介します。
- 杖をひく…杖を持って歩き回ること
- 杖を突く…歩くときに杖を使っていること
- 杖に突く…杖にして寄りかかること
- 転ばぬ先の杖…用心していれば失敗しないこと
- 杖とも柱ともする…非常に頼りにすること
特殊な杖
- 白杖…視覚障がい者が持つ杖。
- 金剛杖…宗教的修行者が持つ杖。
- 仕込み杖…中に刀や傘が隠してある杖。
- 松葉杖…けがや病気で足が不自由な人が脇の下に挟んで使う杖。二またの形状が松葉に似ていることからこう呼ばれます。
「杖」を英語で
「杖」というくくりにできるか微妙なニュアンスなところまで含めて、紹介します。
「cane(ケーン)」
「cane」はギリシア語で植物のアシを意味する「kanna」に由来します。そのため、植物の茎や添え木の意味ももちます。歩行用の杖を意味する最も基本的な語です。「walking cane」と表すこともあります。
障がい者スポーツの「杖」など歩くための杖は「cane」といえばたいていは間違いありません。
「candy cane(キャンディケーン)」
クリスマスツリーに飾る赤と白の杖を「candy cane」と呼びます。これはキリスト教の羊飼いの杖「Shepherd's Crook」を表します。信者を羊に、イエスを羊飼いにたとえる聖書の有名な一説によるものです。
赤はワインと同じくイエスの流した血、白は潔白を表しています。「J」の形はキリストを意味する英語の「Jesus」に由来するとも、フックの方が誰かを助けやすいからともいわれます。同じ理由で、司教の持つ杖も「J」型をしています。
「stick(スティック)」
「stick」の由来は突き刺すという意味の「sticca」という古い英語だと言われています。英国では歩くための杖にも使われますが、木の枝や鋭くとがった棒状の物のことを呼びます。スキーのストックのように突き刺すものに使われます。
「wand(ワンド)」
「wand」は歩行用の杖ではなく、手品師や魔法使いの杖のことを指します。タロットカードの杖などはこちらが多く使われます。
魔法使いは杖で何でも解決してくれることから、万能な手段のことを「(magic)wand」と呼ぶこともあります。
「staff(スタッフ)」
「staff」は鈍器として殴るための杖のことを指します。杖よりもむしろ棒や棍と呼んだ方が近いでしょう。その他、権威の象徴としての職杖も「staff」で表します。
「rod(ロッド)」
「rod」は細長い棒のことです。「杖」よりもむしろ「竿」です。釣竿のことはまさに「rod」で表します。
旧約聖書ではモーセの兄アロンの持つ杖が「Aaron`s rod」と訳されます。イスラエルの神から授かり、エジプトに様々なわざわいをもたらした杖です。モーセが海を割った時も使ったという説もあります。
「baton(バトン)」
「baton」は慣用的に次の物を指す言葉です。主に軽くて短い棒のことです。
- 警察官の持つ警棒
- 指揮者の指揮棒
- リレーや行進用のバトン
「pole(ポール)」
「pole」は細長い棒のことを意味します。歩くためではなく、支柱の様に固定して支えにするものを呼びます。陸上競技のポールや、トーテムポールが代表例です。
「bar(バー)」
「bar」も細長い棒を指します。ダンベルの握り手の様に両端を固定されている横棒を指すことが多く見られます。
「crutch(クラッチ)」
「crutch」は古英語の「cryce」に由来します。「杖」のなかでは松葉づえのことだけを指します。また、ボートのオールを置くU字型の金具も「crutch」と呼ばれます。
「caduceis(カドケウス)」
「caduceis」はギリシア神話でヘルメスが持つ蛇が2匹巻き付いた杖です。もともとはアポロンが持っていたのですが、ヘルメスの竪琴と交換しました。このため、ヘルメスは神々の使者、アポロンは音楽の神となったと言われています。
「thyrsus(テュルソス)」
「thyrsus」はギリシア神話でブドウと演劇の神ディオニュソス(ローマ神話のバッカス)が持つ杖です。トレードマークのブドウの他、フェンネルや松などで飾られています。