「stay hungry stay foolish」の意味
「stay hungry stay foolish」という言葉は、2005年6月、スタンフォード大学の卒業式でスティーブ・ジョブズが卒業生に向けてスピーチをした際に、スピーチの最後を締めくくる言葉として使用したメッセージです。
「ハングリーであれ、愚か者であれ」と訳されることが多いでしょう。
そのジョブズのスピーチは、自身の生い立ちや仕事、ガンの闘病生活などを織り交ぜながら自分の信念を貫くことの重要性を伝える内容で大きな感動を集めました。
スティーブ・ジョブズのスピーチ内容
スピーチは3つの内容で構成され、最後のまとめとして「stay hungry stay foolish」というメッセージが伝えられます。内容を1つずつご紹介します。
1. 点と点
最初の話ではスティーブ・ジョブズの生い立ちと大学を退学した出来事から、将来につながる保証が無くても自分の心に従う大切さを伝えました。
ジョブズの生みの母親は未婚の若い大学院生だったため、ジョブズは「将来大学に進学させること」を条件に養子に出されることになりました。約束通り大学に進学したジョブズでしたが、半年で退学してしまいました。なんとなく大学を選んでしまったためにやりたいこともなく、両親に多額の学費を出してもらうことに意味を見いだせなかったからです。
しかし、ジョブズは退学したあとも大学に居座り続け、自分の興味のある授業だけ潜り込んで受講していました。特にカリグラフの世界に夢中なったそうです。それが役に立つのは10年後、マッキントッシュの設計ででした。
ジョブズが大学を退学しカリグラフを学んでいなければ、今日のように美しいフォントを持つコンピューターは生まれていなかったかもしれません。
何か行動を起こすとき、それが将来につながる確証はもちろんありません。それでも、現在の点がやがて将来の点につながると信じて自分の信念に従いなさいとジョブズは伝えたのです。
2. 愛と敗北
2つめの話では自身が立ち上げた会社(アップル)から解雇されたときの話から、人生で苦難に遭っても信念を投げ出さない重要性を伝えました。
ジョブズが20歳のとき、両親のガレージでアップルを創業しました。会社が大きくなり外部から有能な経営者を招聘したものの、次第にジョブズのビジョンとは合わなくなってゆきました。ついには経営側との関係が決裂し、ジョブズはなんと自分で立ち上げた会社をクビになってしまったのです。
彼は全てを失い逃げ出すことも考えたそうです。それでも彼は希望を失いませんでした。やはり仕事が大好きだったからです。
それから5年間、ジョブズはNeXTとピクサーを立ち上げ、結婚もしました。NeXTはアップルに買収され、開発した技術がアップル復活の核となりました。アップルを追い出されたことはジョブズにとって非常につらい出来事でしたが必要なことだったのです。
人生で辛いことが起きても信念を投げ出してはいけない。また、その確固たる信念を持つためには仕事に誇りを持たなければならない、仕事を愛さなければならない。もし、その仕事を見つけられていないなら探し続けてください、とジョブズは強く語りかけています。
3. 死について
3つめの話ではジョブズがガンと診断されたときのこと、そしてジョブズの死生観が語られました。
17歳のとき「毎日をそれが人生最後の一日だと思って生きれば、その通りになる」という言葉に出会ったジョブズ。その日から毎朝「今日が自分の人生最後の日でも、今日やろうとしていることを私はやりたいか」と自分に問いかけていたそうです。
何か考えるとき、行動するとき、プライドや失敗を恐れる心は妨げとなります。死を意識することは本当に大切なことだけを見つめる方法として有効だとジョブズは語っています。限られた時間を無駄なことに使ってはいけない、自分の心や直感に従う勇気を持つことの重要性をジョブズは伝えました。
「stay hungry stay foolish」の語源
「stay hungry stay foolish」はアメリカで発刊されたヒッピー向けの雑誌『全地球カタログ』の最終号の裏表紙にあった言葉だそうです。
ジョブズはスピーチの締めくくりとしてこの言葉を卒業生たちに贈りました。たとえ周りから見て愚かでも、常識から外れたことであっても、自分の好きなことや信念を曲げずに行動しなさい。
それがジョブズがこの言葉を通して伝えたいことだったのではないでしょうか。