「クラスタ」の意味
クラスタという言葉は文脈によって色々な意味を持ちますが、ぶどうの実が集まって一つの房を形作るように、複数の、かつ同種の要素が集まってひとつの集団・塊を作ったものを指すことは共通しています。
最も有名な使われ方としては、空気清浄機のプラズマクラスター機能かもしれませんね。この場合、空気中のイオン粒子と水が塊を作ったものという意味でクラスターという言葉が使われています。
web上では主にコンピュータサイエンスやデータ分析といったIT用語として、あるいは気軽なやりとりで使用されるネットスラングとして扱われることが多いようです。
IT用語としてのクラスタとは
IT用語として使われる場合、文脈によって意味が大きく異なります。「クラスタ」として集合する要素が違うのですが、「クラスタ」となった時の使われ方も様々です。
ここでは、3つの意味について説明します。
コンピュータサイエンスにおけるクラスタ
まず、コンピュータサイエンスにおいては、複数のコンピュータが連結されあたかも一つのコンピュータとなったかのように連携して処理を行うシステムという意味を持ちます。
こうすることで、個々のコンピュータでは膨大な時間がかかってしまうような負荷の大きい作業を早く終わらせることができたり、一部のコンピュータが故障してしまっても全体としては作業を続けることができたりなどのメリットがあります。
単位としてのクラスタ
2つ目の意味は、HDDなどの記録媒体の仕組みに関わる単位です。
コンピュータのOS(オペレーションシステム)がディスクなどに配置されたデータの記憶スペースを扱うとき、細かく区切られた部屋(セクタ)をいちいち扱うと時間がかかるので、セクタを程よい大きさにまとめて扱う際の塊をクラスタと言います。
データ分析分野でのクラスタ
最後に、データ分析の分野での意味を解説します。
この文脈でクラスタといえば、近い傾向を持つデータを一塊のグループにまとめたものを指します。
何をもって近いとするのかは様々ですが、ある傾向でまとめられたクラスタの中のデータに実は別の共通点が判明するなど、未知の現象の仕組みや特徴を理解するための足がかりにできます。
このようにデータをまとめることをクラスタリングと呼びます。
ネットスラングとしてのクラスタとは
IT関連でないwebサイトでもクラスタという言葉が使われます。この場合、共通の所属や趣味などを持ち、互いにSNSなどで繋がっている人々のことを意味します。
例えば、進撃の巨人が好きで、掲示板などで互いに感想を語り合う人たちをまとめて進撃の巨人クラスタと呼ぶなどです。
ゆるい繋がりを前提として使われ、「○○が好きな人」といった言い方よりも人が集まって小さな社会を作っていることを意識した言葉です。そのため、使い方によっては自他の所属意識が強調された印象を与えることになります。
集団を意味する他の言葉との違いは?
元々「クラスタ」は英語の'cluster'がカタカナ語となった言葉です。ここでは、日本語として「クラスタ」を捉え、近い意味の日本語と比較します。
近い意味の言葉はいくつもあり紛らわしいですが、よく使われるのは以下の3つでしょうか。それぞれに細かなニュアンスの違いがあります。
- グループ
- 仲間
- 集団
「クラスタ」と「グループ」
クラスタが基本的に同質の人や物が集まるような意味であるのに対して、グループというと同じ集まりでも中身は必ずしも同質でないというニュアンスが出ます。
もっと深く考察すると、グループは内容が同質というよりも目的が同じ人や物が集まった集団と言えるかもしれません。
「クラスタ」と「仲間」
仲間とすると、クラスタよりも親密な繋がりを持つ印象を与えることができます。ゆるい繋がりでない、もっと近い関係だということを強調したいときは「仲間」と表現すると良いでしょう。
「クラスタ」と「集団」
「集団」は内容の質や繋がりを問わず、ただ集まっているという意味で使われます。他の言葉よりも広い意味で使うことができ、使いやすい言葉だと言えるでしょう。
概ね以上のような違いはありますが、実際に使われるときは細かな意味までは意識されずに使われることもあります。自分を含め、使っている人がどのくらい詳しく伝えたいのか、意識してみると面白いコミュニケーションになるかもしれませんね。
「クラスタ」のまとめ
以上のように「クラスタ」という言葉には色々な意味付けがされていますが、同質のものが繋がってできた塊であるという大元の意味は共通しています。文中で見つけてすぐには意味が分からなくても、この共通の意味を知っていれば大まかな意味は推測できるでしょう。