拝承とは?拝承の意味
相手の要望や指示を謹んで受け止め、了承することを意味する謙譲語
拝承の説明
「拝承」は「つつしんでうけたまわる」という意味を持つビジネス敬語で、特に書き言葉としてメールや文書で使用されます。「拝」は「おがむ」、「承」は「うけたまわる」という意味を持ち、両方を組み合わせることで「恭しく受け取る」という非常に丁寧なニュアンスを表現しています。通常は「拝承しました」や「拝承いたしました」のように動詞として使用され、相手を立てて自分がへりくだる謙譲語の性質を持っています。ただし、「拝承いたしました」は二重敬語になるため、状況によっては慇懃無礼な印象を与える可能性もあるので、使用する相手や場面に応じた適切な使い分けが重要です。
丁寧すぎるくらいがちょうど良いビジネスシーンでは、覚えておくと便利な表現ですね。
拝承の由来・語源
「拝承」の語源は、それぞれの漢字が持つ深い意味に由来しています。「拝」は元々、神前に玉串を捧げて祈る動作を表し、「おがむ」「敬意を表す」という意味を持ちます。一方、「承」は「うけたまわる」という意味で、両手を差し出して恭しく受け取る様子を象っています。この二つが組み合わさることで、「謹んでお受けいたします」という非常に丁寧な謙譲表現が生まれました。特にビジネス文書や改まった場面で使用されるようになった背景には、日本の礼儀正しい商習慣が大きく関係しています。
丁寧さと謙虚さが一体となった、日本らしい美しい表現ですね。
拝承の豆知識
「拝承」は「日立用語」としても知られており、日立製作所やそのグループ企業では特に頻繁に使用されることで有名です。これは同社が独自のビジネス文化を大切にしてきた歴史的背景によるもの。また、メール文化が発達した現代では、電話での会話よりも書き言葉としての使用が主流となっています。面白いことに、この言葉は二重敬語である「拝承いたしました」という形で使われることが多く、文法上は誤りながらも慣用的に定着している珍しい例でもあります。
拝承のエピソード・逸話
元総理大臣の安倍晋三氏が官僚時代、重要な政策決定会議で「この件はしっかり拝承いたしました」と発言したことが関係者の間で話題となりました。また、トヨタ自動車の豊田章男社長は、取引先からの要請に対して「貴重なご意見、拝承いたしました」と丁寧に返信することを心がけているとインタビューで語っています。さらに、作家の村上春樹氏は編集者とのやり取りで「原稿のご指摘事項、すべて拝承しました」という表現を好んで使用すると、ある文芸誌の対談で明かしていました。
拝承の言葉の成り立ち
言語学的に見ると、「拝承」は謙譲語Ⅱ(丁重語)に分類されます。これは話し手が聞き手や第三者に対して、自分側の事物や動作を控えめに表現することで、結果的に相手を高める効果を持つ表現です。興味深いのは、この言葉が「拝見」「拝聴」などと同じく、「拝」を接頭辞として用いた謙譲語の体系を形成している点です。また、現代日本語では「承知いたしました」「かしこまりました」などとの使い分けが微妙で、場面や相手との関係性によって適切な表現が選択されるという、日本語の敬語体系の複雑さをよく表している言葉と言えます。
拝承の例文
- 1 上司からの急な残業依頼メールに「ご指示の件、確かに拝承いたしました」と返信したものの、内心では予定がパーになる悲しみに沈む…という経験、ありますよね。
- 2 取引先から細かい修正指示が山のように来て、「ご指摘のすべての点、拝承しました」と丁寧に返信するものの、内心では「またか…」とため息が出てしまうあるある。
- 3 「明日の会議、午前10時からに変更になりました」という連絡に「変更の件、拝承いたしました」と返すけど、実は朝が苦手で内心では泣きそうになるビジネスパーソンのあるある。
- 4 クライアントから「至急対応お願いします」とメールが来て、「ご要望の件、拝承しました」と返信したものの、既に仕事が山積みで頭がパニック状態…というあるあるある。
- 5 「資料の提出期限を明日まで延ばします」という甘い言葉に「ご連絡いただきありがとうございます。拝承いたしました」と返すけど、実はまだ資料作りに手を付けていないというあるある。
「拝承」の適切な使い分けと注意点
「拝承」は非常に丁寧な表現ですが、使い方を間違えると逆効果になることも。特に以下のポイントに注意が必要です。
- 取引先や目上の方への重要な連絡では「拝承いたしました」が適切
- 社内の同僚や親しい取引先には「承知しました」の方が自然
- 緊急時や簡潔さが求められる場面では「かしこまりました」が好まれる
- メールの件名に「拝承」を使うのは避け、本文中で使用する
また、同じメール内で何度も「拝承」を使いすぎると、かえって慇懃無礼な印象を与える可能性があります。重要なのは相手と状況に合わせた適切な使い分けです。
関連用語との比較表
| 表現 | 丁寧さ | 使用シーン | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 拝承 | 非常に丁寧 | 格式ばった文書・重要取引 | 謙譲語、書き言葉中心 |
| 承知 | 丁寧 | 一般的なビジネスシーン | 汎用的、話し言葉でも使用可 |
| 了解 | カジュアル | 社内・同僚間 | 略式表現、目上には不向き |
| かしこまりました | 丁寧 | 電話対応・接客 | 話し言葉に適した丁寧表現 |
このように、それぞれの表現には微妙なニュアンスの違いがあります。状況に応じて最適な表現を選ぶことが、ビジネスマナーの基本です。
現代のビジネスシーンでの位置づけ
IT化が進む現代では、「拝承」の使用シーンも変化しています。メール文化の普及により、書き言葉としての需要が増加している一方で、チャットツールの台頭により、より簡潔な表現が好まれる傾向もあります。
- リモートワークの増加でメールコミュニケーションが重要に
- 国際取引では過度な敬語より明確な表現が求められる場合も
- 若手社員への敬語教育の一環として「拝承」を教える企業が多い
- AI翻ツールの進化で、適切な敬語表現の選択がより重要に
デジタル時代においても、適切な敬語使用はビジネスパーソンの基本的な教養として重要性が増しています
— ビジネスコミュニケーション研究所
よくある質問(FAQ)
「拝承いたしました」は二重敬語ではないですか?
はい、厳密には二重敬語になります。しかしビジネスシーンでは慣用的に広く使われており、特に書き言葉として定着しています。より正確な表現を求めるなら「拝承しました」が適切ですが、丁寧さを重視する場面では「拝承いたしました」も許容範囲内です。
「承知しました」と「拝承しました」はどう使い分ければいいですか?
「承知しました」が一般的な了承表現なのに対し、「拝承しました」はより改まった格式ばった場面で使用されます。取引先の重役への返信や重要な契約書類など、特に丁寧さが求められる場合に「拝承」を使うと良いでしょう。
電話での会話でも「拝承」を使っても大丈夫ですか?
「拝承」は主に書き言葉として発達した表現です。電話では「かしこまりました」や「承知いたしました」などの方が自然に聞こえます。ただし、非常に格式ばった内容の場合は話し言葉でも使用されることがあります。
「拝承」は目上の人にしか使ってはいけないのですか?
基本的には目上の人や取引先など、敬意を示すべき相手に対して使用します。同僚や部下に対して使うと、やや距離感があり堅苦しい印象を与える可能性があるので、状況に応じて使い分けることが大切です。
メールで「拝承」を使うときの注意点はありますか?
本文中で一度使用すれば十分です。繰り返し使うとかえって慇懃無礼な印象を与える可能性があります。また、件名に「拝承」を使うのは避け、本文中で使用するようにしましょう。緊急時やカジュアルな連絡では、より簡潔な表現が好まれる場合もあります。