「駅弁大学」とは?
「駅弁大学」とは、地方国立大学のことで、とくに1946年(昭和21年)以降、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)による学制改革によって新しく地方に作られた国立大学のことを指します。この学制改革によって、「一県一大学」が実現し、国立の新制大学が急増しました。
当時、急行列車が停車する駅では駅弁が販売されており、新しく地方に作られた国立大学もそのような駅にあるということから、「駅弁大学」と呼ばれるようになりました。ジャーナリスト、作家、評論家の大宅壮一(おおやそういち、1900~1970)の、「急行の止まる駅に駅弁あり、駅弁あるところに新制大学あり」という言葉が始まりとされています。
「個性のない地方の国立大学」というような、軽くあざけるニュアンスを含んだ言葉なので、他人に対して使うのは避けたほうがよいようです。また、「駅伝大学」の表記は誤りです。
駅弁大学とされる大学
北海道
なし
東北地方
- 弘前大学(青森県)
- 岩手大学
- 秋田大学
- 山形大学
- 福島大学
関東地方
- 茨城大学
- 宇都宮大学(栃木県)
- 群馬大学
- 埼玉大学
- 千葉大学
- 横浜国立大学(神奈川県)
- 山梨大学
中部地方
- 新潟大学
- 富山大学
- 金沢大学(石川県)
- 福井大学
- 信州大学(長野県)
- 岐阜大学
- 静岡大学
- 三重大学
近畿地方
- 滋賀大学
- 神戸大学(兵庫県)
- 和歌山大学
中国・四国地方
- 鳥取大学
- 島根大学
- 岡山大学
- 広島大学
- 山口大学
- 徳島大学
- 香川大学
- 愛媛大学
- 高知大学
九州・沖縄地方
- 佐賀大学
- 長崎大学
- 熊本大学
- 大分大学
- 宮崎大学
- 鹿児島大学
- 琉球大学(沖縄県)
注:地方国立大学でも、偏差値の高い難関国立大学は駅弁大学から除くとする場合もあります。
駅弁大学でない大学
国立大学でも、一般的に次のような大学は駅弁大学ではないとされています。
旧帝国大学
- 東京大学
- 京都大学
- 北海道大学
- 東北大学
- 名古屋大学
- 大阪大学
- 九州大学
商学・語学・工学・医学・芸術系などの単科大学
- 一橋大学
- 東京外国語大学
- 東京工業大学
- 東京医科歯科大学
- 東京藝術大学など
女子大学
- お茶の水女子大学
- 奈良女子大学など
駅弁大学のメリット
経済的である
国立大学なので、私立大学に比較して学費は安くなっています。地元であれば、自宅から通学することが可能な場合もあります。
また、地方都市では大都市に比べて物価が安く、生活費を安く抑えることができます。下宿する場合でも、都市部では家賃が高く、大学から離れたところで安い部屋を探すことになることも多いですが、家賃が安い地方ならば大学の近くに部屋を借りることが可能です。
地元への就職に強い
駅弁大学とからかわれていても、その県ではトップクラスの大学であることがほとんどです。そのため、地元の企業への就職には強い傾向があります。
また、地方公務員への就職をする学生も多いです。国立大学に受かるためには、センター試験で多くの教科を受けなければなりませんが、公務員試験も幅広い科目の受験が必要なので、親和性が高いようです。
駅弁大学のデメリット
(比較的)都市部への就職に弱い
地方から東京や大阪などの都市部まで行って就職活動をする場合、移動の時間に加えて、交通費がかかります。中には、都市部で就職活動を行う際に、ウィークリーマンションを借りたりする学生もいるようです。
地方から都市部への就職活動を行う場合、都市部の学生に比べて情報が入りにくいことも、就職活動に後れを取りやすい一因になっています。地方と都市部の物理的な距離が、就職活動の情報格差につながっている理由の一つでもあります。
刺激が少ない
大都市に比べて、地方都市には刺激的な環境は少ないものです。遊ぶだけでなく、文化的な環境もあまり多いとはいえません。
また、地方の国立大学では、優秀でまじめな学生が多く、どちらかと言えば、のんびりした環境になる傾向が強いでしょう。そのようなアットホームな環境を望む場合はよいのですが、自分とは価値観が違ういろいろな人がいてこその大学、と考える人には物足りないかもしれません。