「至極」の読み方
「しきょく」ではなく、「しごく」と読みます。「極」を「ごく」と読むものは、他に
- 極貧(ごくひん)
- 極楽(ごくらく)
- 極暑(ごくしょ)
- 極秘(ごくひ)
- 極意(ごくい)
- 極薄(ごくうす)
- 極悪(ごくい)
などです。ただし、「至極」のように2字熟語の後半に来るものは「京極(きょうごく)」などで、ほとんどありません。
「至極」の意味
訓読みをすれば「極みに至る」となり、最高の状態に達するという意味です。「極」だけではなく、「至高」・「至誠」などの熟語にもみれるように、「至」という漢字自体にも「最高の」といった意味があります。
つまり、「これ以上のものはない」という「極」「至」のどちらも同じような言葉を重ねて成り立つ言葉です。
「至極」の使い方
「とても」や「非常に」といった言葉で置き換えることのできる文脈で使われます。とりわけ、「至極」を使うことにより、それらの言葉で表現できない度合いの深さや程度の大きさを示すことが可能です。
要するに、「至極」を文中で使うことによって内容に重みが増すと言えるでしょう。
「至極」の例文
- 傍目から見れば至極きついようなことかもしれませんが、今の本人にとっては必要なことなのかもしれません。
- あの子は、昨年、母親を亡くしたばかりなのに、至極頑張っているので周囲の人を元気付けていますよ。
- ”至極穏やかで危険のない顔には相違ないが、何となく変化に乏しい。”(出典:夏目漱石著,『吾輩は猫である』)
「至極」の複合語
代表的な「至極」の複合語について解説していきます。結び付く語は肯定的なものでも、否定的なものでも大丈夫です。
①恐悦至極(きょうえつしごく)
「恐悦」ではなく「恭悦」と表記されることもあります。意味は、他者からの厚意に対して大きな感謝の思いを伝えることです。「恐ろしく悦(よろこ)ばしい」・「恭(うやうや)しく悦ばしい」と訓読みにすれば、どちらも感謝の気持ちがあることが分かります。
例)
「このような恩恵に預かることができまして、恐悦至極にございます。」
恐れ多いという気持ちを示すため、「恐悦至極にございます」・「恐悦至極に存じます」といった形で使います。
②至極当然(しごくとうぜん)
そのように感じるのは最もなことだと思う際に使われる言葉です。似たような意味として「道理至極(どうりしごく)」といったものがあります。
例)
「ご指摘いただいた点について振り返りましたところ、至極当然であると痛感しております。」
指摘していただいた相手に対して「仰る通りでございます。」と申し伝えるよりも、内省と反省の意味をしっかりと強く示すことができます。
③至極光栄(しごくこうえい)
これ以上ないほど光栄であると思っている、あるいは、これ以上ないほどの名誉であると感じているという意味を表します。プライベートな場面よりもビジネスシーンにおいて使われることが多いでしょう。
例)
「このような場にお招きいたただき至極光栄に存じます。」
「思います」よりも畏(かしこ)まった表現の「存じます」につなげて使われることが多いです。
④至極簡単(しごくかんたん)
これより他に簡単なものは存在しないという意味です。「朝飯前」や「お茶の子さいさい」といった言葉で言い換えることができます。他の複合語を使って「至極平易(しごくへいい)」とも言えます。
例)
意味:舞台で使用される道具は、船や輿(こし)、車であっても、たとえ小さなものでも、とても簡単で分かりやすいのです。(ちなみに、「輿」とは人を持ち運びするために使われる木製の道具のことを意味します。)
⑤残念至極(ざんねんしごく)
この上なく残念であるという意味として使われます。本当に残念でならないという思いを強く表現できる言葉です。同じような意味を持つ言葉に「無念至極(むねんしごく)」というものがあります。
例
意味:医師法というものが存在するため、私が人助けをするために精神病院を開業できないのは本当に残念で残念で仕方がないことである。
「至極」のまとめ
「至極」を使うことで言葉に重みを持たせることができますよね。ポジティブな言葉ともネガティブな言葉とも結び付き複合語を成すことも珍しくありません。場面に応じた言葉の選択を心がけたいものですね。