「袖振り合うも多生の縁」とは?意味や使い方をご紹介

「袖振り合うも多生の縁」は、室町時代から見られることわざです。「多生の縁(たしょうのえん)」という言葉はあまり聞きなれないかもしれませんが、仏教観に基づくものです。ここでは「袖振り合うも多生の縁」の意味や使い方をご紹介します。

目次

  1. 「袖振り合うも多生の縁」の意味
  2. 「袖振り合うも多生の縁」と仏教
  3. 「袖振り合うも多生の縁」の使い方
  4. 「袖振り合うも多生の縁」の類語
  5. 「袖振り合うも多生の縁」といろはかるた
  6. 「袖振り合うも多生の縁」の英語表現

「袖振り合うも多生の縁」の意味

「袖振り合うも多生の縁(そでふりあうもたしょうのえん)」とは、どんな出会いも深い宿命によるものだ、という意味です。

「振り合う」というのは、お互いに触れる、触れ合うという意味です。見知らぬ人とたまたま道で袖が触れ合うというのも、前世からの深い因縁によるものであり、人と人との関係はどんなものであっても単なる偶然によって生じるものではないので、大切にしなければなりませんよ、という教えです。

袖すり合うも多生の縁」や「袖の振り合わせも多生の縁」、「袖振り合わすも多生の縁」、「袖の振り合う他生の縁」など、言い回しや漢字表記が微妙に異なる表現もいくつかあります。

「袖振り合うも多生の縁」と仏教

「袖振り合うも多生の縁」ということわざは、仏教的な考えから来ていると言われています。

「多生」とは

「多生」は仏教用語で、何回も生まれかわるという意味です。「多生の縁」とは、何度も生死を繰り返している間に結ばれた、この世だけのものとは思われない因縁の事を言います。

仏教においては、人類はすべて、生きていた時の行いによって死後に生まれかわり、六道(ろくどう)という六種の世界に住むと考えられています。地獄道、飢餓道、畜生道、修羅道、人間道、天道です。この六道の間を何度も生まれかわることを「多生」と言います。

「他生」とは

「他生」も同じく仏教用語です。「多生」が「一生」に対する語であるのに対し、「他生」は「今生(こんじょう)」すなわち「この世」に対する語で、前世や来世を意味します。つまり「他生の縁」は前世からの因縁という意味になります。

「袖振り合うも多生の縁」の使い方

  • 旅先で道に迷っていた私を、地元のおばあさんが目的地まで案内してくれた。袖振り合うも多生の縁だと思い、道中色々な話をした。
  • 職場に苦手な先輩がいたのだが、袖振り合うも多生の縁という言葉を思い出してできるだけ話しかけてみたら、実は共通の趣味があり楽しい人だと分かった。
  • ライフで偶然隣りの席になった人と結婚することになるなんて。まさに袖振り合うも多生の縁だと思った。

どれも人との出会いに何かの縁を感じた時に使われていますね。今日では仏教的な深い意味をさほど意識することなく、これも何かのご縁ですよね、といった気軽な様子で使われることも多いようです。

また「たしょう」の表記ですが、「多生」ではなく「他生」という漢字が使われることがあります。しかし、「多少」という漢字は誤りですので使わないように気を付けてくださいね。

「袖振り合うも多生の縁」の類語

  • 袖の振り合わせも五百生の機縁
  • 躓く石も縁の端
  • 一河の流れを汲むも他生の縁
  • 一樹の陰一河の流れも他生の縁
  • 行きずりの宿世
  • 一村雨の雨宿り

これらはどれも同じような意味を持つ表現です。同じ川の水を汲む、にわか雨が通り過ぎるのを待つ間一つ屋根の下で雨宿りする、道で人とすれ違う、など様々なケースにおける出会いも前世からの因縁であり、大切なものだと言っています。

「袖振り合うも多生の縁」といろはかるた

「袖振り合うも多生の縁」は、上方系のいろはかるたで定番のことわざです。採用されている絵柄としては、仲睦まじそうな夫婦の姿など、若い男女が描かれたものが多いようです。他には、花嫁姿一人だけのもの、男物と女物の着物の袖一対を描いたものなどがあります。

「袖振り合うも多生の縁」の英語表現

  • Even a chance acquaintance is decreed by destiny.(偶然に知り合うことでさえも宿縁による)

「袖振り合うも多生の縁」は仏教的な考えに基づくことわざですが、英語でも同じような表現があるんですね。


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