「及び」の意味と使い方
「及び」は並立(並列)の接続詞です。「A及びB」はAという事柄とBという事柄が並んであることを示します。「A and B」の意味ですね。
- 我が国の大貿易港は、横浜及び神戸である。
三つ以上の言葉をつなげるときにも使います。この場合は、「A、B、C、及びD」とします。
- 同じ容量、ブランド、速度、及びチップのメモリ
日常生活では、「AとB」、「AやB」、「AもBも」が一般的によく使われます。
「及び」と「並びに」の違い
続いて、「及び」とその類語の違いを説明します。まず、「並びに」です。一般には、「並びに」は「及び」と同じように使えます。
- 先生方、ならびに諸先輩のおかげです。
- 在校生、並びにご父兄の皆様はこちらにご着席ください。
ただし、法令文では「及び」と「並びに」を同じ文の中で同時に使うときは注意が必要です。小さくつなげるときは「及び」を使い、大きくつなげるときは「並びに」を使います。
「A及びB、並びにC」は「(A and B) and C」ということです。分かりやすい例でいうと、「砂糖、醤油及びみりん、並びに鶏肉」では砂糖、醤油、みりんなどの調味料と鶏肉を大きくつなげています。
- 公租公課その他の賦課金及び負担金、並びにガス、電気、水道その他の付帯設備の使用料(「公租公課・賦課金・負担金」とガスなどの使用料を「並びに」を使って大きくつなげています。)
「及び」と「若しくは」の違い
「及び」は並立の接続詞でしたね。「若しくは」は、選択の接続詞で、「及び」とは対照的な使い方をされます。
「A若しくはB」はAという事柄とBという事柄のどちらかを選べということです。「A or B」の意味です。
- 電話もしくは電報でお知らせします。
- 権利の放棄若しくは義務の免除(権利の放棄か、義務の免除かの一択)
「及び」と「又は」の違い
「又は」は「及び」の反対語です。「若しくは」と同じく選択の接続詞ですが、「並びに」と対照的な使われ方をされます。
- テレビまたは新聞紙上でお知らせします。
- 土地建物の全部または一部を放棄できる。
法令文における「若しくは」と「又は」の用法
法令文で、「若しくは」と「又は」を同じ文の中で同時に使うときは注意が必要です。小さくつなげるときは「若しくは」と使い、大きくつなげるときは「または」を使います。「A若しくはB、又はC」は「(A or B) or C」ということです。「及び」は小さくつなげ、「並びに」は大きくつなげるのと対照的ですね。
分かりやすい例でいうと、「純米酒若しくは料理酒、または本みりん」は、純米酒か料理酒のどちらかを選ぶか、そうでなければ本みりんでも構わないという意味です。
- 乙は甲に対し、代品納入若しくは代金減額又は代金返却を請求することができるl。
「及び」と「若しくは」・「並びに」と「または」をそれぞれセットで覚えましょう。
ひらがなと漢字のどちらで書いたらいいの?
「および」「ならびに」「もしくは」「または」とひらがなを使ってもかまいませんが、公用文での使用は漢字で統一されます。一般にはそれぞれの内部規定に従ってください。
例 おって かつ したがって ただし ついては ところが
ところで また ゆえに
ただし,次の4語は,原則として,漢字で書く。
及び 並びに 又は 若しくは
(内閣訓令第1号「公用文における漢字使用等について」)
まとめ
日常の会話や文章ではもっと易しい言葉に言い換えるのが普通ですが、これらの接続詞は使い分けを知っておくと、法令文を読むときに役立ちます。
法令文の中では並立の接続詞や選択の接続詞が同じ文の中に混在するとき、「及び」と「若しくは」は小さくつなげ、「並びに」と「または」は大きくつなげるということは覚えておきたいですね。