「カテナチオ」とは?
「カテナチオ(伊 Catenaccio/イタリア語ではカテナッチョと発音)」とは、イタリア語で「かんぬき」という意味です。ちなみに「かんぬき(閂)」とは、門や戸をしっかり閉めるための横木のことです。
現代ではなじみの少ないことばですが、時代劇などで、夜間にお屋敷の門を閉じた後、内側から左右にある金具に通す横木が「かんぬき」です。
サッカーにおける「カテナチオ」とは?
このちょっとなじみのない「カテナチオ」ということばが使われるようになったのは、FIFAサッカーワールドカップ優勝4回を誇る『アズーリ(イタリア語で”青”の意)』ことサッカーイタリア代表チームの活躍によるところが大きいでしょう。
もともとは1950年代から1960年代にかけてのイタリア代表チームのプレースタイルを指しており、鉄壁の守備で自陣を守り、カウンターで攻めるという「守備と結果」を重視したサッカーのプレースタイルをこのように呼んでいました。ですが残念ながら現在このプレースタイルは、イタリアだけでなく世界的に見てもほぼ採用されていません。
では、どうして現在でもこのことばが頻繁にメディアに登場するのでしょうか。それはこの「カテナチオ」という言葉は、現在はイタリアサッカーそのものの『代名詞』として使われているからといえます。また、サッカーイタリア代表チームでなくても、堅い守備のサッカースタイルそのものを「カテナチオ」と呼ぶこともあります。
「カテナチオ」で知られるサッカー選手
「カテナチオ」で知られる名選手はたくさんいますが、ここではその中から二人のイタリア人選手をご紹介します。
ファビオ カンナバーロ
2018年現在中国サッカー スーパーリーグ広州恒大の監督を務めるイタリア人の同氏は、インテル・ミラノ、レアルマドリード、ユヴェントスなどのチームを渡り歩き、2011年UAEのアル・アハリ・ドバイを最後に現役を引退しました。
現役時代のポジションはDF(ディフェンス)で、愛称が『ベルリンの壁』であったことからもわかるように、まさに「カテナチオ」な選手でもありました。また、2006年にはヨーロッパ年間最優秀選手に贈られるバロンドールを受賞しており、これはDF選手としては3人目、4回目となる受賞でした。
ジャンルイジ ブッフォン
2018年現在パリ・サンジェルマンで40歳にして現役GK(ゴールキーパー)を務めるイタリア人の同氏は、2016年にはGKとしては初めてとなるゴールデンフットアワードを受賞しています。
『スーパーマン』の愛称で知られる同氏は、2006年ドイツで開催されたFIFAワールドカップで大会での7試合で2失点しか許さず(この2点はオウンゴールとPKでの失点)4回目となる母国優勝に貢献しました。彼もまた「カテナチオ」を絵にかいたような選手と言えるでしょう。
日本で「カテナチオ」といえば
2010年から2014年にかけてサッカー日本代表監督を務めたアルベルト・ザッケローニ監督は「カテナチオ」の国出身のイタリア人です。同氏が監督を務めた間、そのプレースタイル等を批評するために「カテナチオ」ということばがよく使われたのを記憶している方もいらっしゃるかもしれません。
実際には、ザッケローニ監督のスタイルは『3-4-3』のフォーメーションを好む攻撃重視タイプで、守備を重視する伝統的な「カテナチオ」のスタイルではありませんでした。ですが、同氏の登場がイタリアのサッカー用語が日本のお茶の間に浸透する一助となったのは言うまでもありません。
「カテナチオ」おわりに
いかがでしたか。ぜひテレビでサッカーの試合を観戦する時には、「カテナチオ」ということばがでてこないかよく聞いてみてくださいね。サッカー用語がわかると、観戦の楽しさが増すこと請け合いです。