「ヘイト」の意味
最近よく耳にするようになったヘイトという言葉。hateは英語で嫌悪や憎悪を意味する単語で、例えば「I hate you!」と言えば「あなたなんて大嫌い!」という意味合いになります。
ただし日本で「ヘイト」を単体で使う場合は、動詞ではなく名詞として使用することがほとんど。特にMMORPG(大規模多人数同時参加型オンラインロールプレイングゲーム)において、敵の攻撃目標設定に使用される内部値を「ヘイト」と称します。
また一時的、あるいは継続的に周囲の人間から反感を買うことも「ヘイトが集まる」と表現することがあります。最近流行の「人狼ゲーム」においては、人狼と疑うことにより複数の参加者に敵愾心(てきがいしん)を持たれることを「ヘイトが集まる」「ヘイトを稼ぐ」と表現します。
MMORPGにおける「ヘイト」
MMORPGにおける「ヘイト」とは、複数人がダンジョンにいた場合、敵がどのキャラクターを攻撃するかを決定付ける内部値のことです。
ゲームによって設定は異なりますが、大抵は強力な攻撃・回復行為・敵への挑発によりヘイト値が溜まっていきます。ヘイト値が高いキャラクターを、敵は攻撃目標とするわけですね。このシステムを利用して、敵の攻撃を特定のキャラクターに集中させることを「ヘイトコントロール」といいます。
ヘイトコントロールが必要になるのは、基本的に複数人で協力してダンジョンを攻略していくような場合です。メンバーは“攻撃力は弱いが防御力と体力値が高い者”や“防御力は弱いが回復手段の多い者”など、様々な特性を持ったキャラクターで構成されます。
したがって、“回復役が真っ先に死んだ”とか“攻撃力がない者だけ生き残った”などという非合理的な展開にならないよう、ヘイトコントロールにより敵の攻撃を盾役のキャラクターへ集中させるのです。
「ヘイト」の使い方
「ヘイト」の使い方は、主に以下のように分類されます。
MMORPGの用語として
- ヘイトを集める
- ヘイトを溜める
- ヘイトを上げる
- ヘイトコントロール
人狼ゲームの用語として
- ヘイトが集まる
- ヘイトを稼ぐ
- ヘイトを撒く
周囲の反感という意味合いで
- ヘイトが集まる
その他の単語と組み合わせて
- ヘイトスピーチ
- ヘイトクライム
- ヘイト創作
「ヘイト」の関連語①ヘイトスピーチ
ここ数年、日本でもよく聞かれるようになった言葉に「ヘイトスピーチ」というものがあります。日本語では「憎悪表現」と訳されることの多いこの単語は、未だ明確な定義が定まっていません。
一般的な解釈としては、人種や宗教、性的指向などの個人的な事柄に対して、攻撃・脅迫・侮辱などを行うことであり、その根底には発言者側の生理的・感情的嫌悪や憎悪があるとされます。
しかしどこからどこまでがヘイトスピーチなのかの線引は難しく、またヘイトスピーチに反対する立場の者が、ヘイトスピーチに対するヘイトスピーチを行うなどのアンビバレンスも孕んでいます。
さらにヘイトスピーチに関する議論で、必ずといっていいほど取り沙汰されるのが「言論の自由」です。他者の自由を認めない者が自身の自由を主張するなど矛盾している気もしますが、いずれにせよこの辺りの問題は、ヘイトスピーチの定義が明確に定まらない限り解消は難しいでしょう。
「ヘイト」の関連語②ヘイトクライム
ヘイトスピーチと並んで問題となっているのが「ヘイトクライム」です。ヘイトスピーチ同様、人種や宗教、性的指向などの個人的な事柄に対する偏見や嫌悪感情を動機として行われる犯罪行為のことで、日本語では「憎悪犯罪」と訳されます。
1998年に性的指向を理由にリンチされ殺害されたマシュー・シェパードや、白人至上主義の男2人に小型トラックに繋がれ生きたまま引き摺り回され殺されたジェームズ・バード・ジュニアの事件は、ヘイトクライムとして有名です。
2009年にアメリカ合衆国で成立したヘイトクライムを禁止する連邦法(改正)は、上記の事件被害者の名をとって「マシュー・シェパード、ジェームズ・バード・ジュニアヘイトクライム防止法」と呼ばれています。