「恐悦至極」の意味
喜びや感謝の気持ちを伝えたり、身が縮み上がるほど恐れ多い気持を表したい際に用いる謙譲語のひとつで、「これ以上の嬉しいことはありません」「恐縮しております」といった思いを身分の上の人に対して表す言葉です。手紙(まれにメールなど)などで使われますが、対面でのお礼を述べる際にも使われることがあります。
「恐悦至極」の語源
「恐悦至極」の言葉の成り立ちを分解して理解することで、より微妙なニュアンスや使用に適した場面を判断することができます。「恐悦至極」は「恐悦」と「至極」という2つの言葉に分解することができます。さらに「恐悦」は「恐」と「悦」、「至極」は「至」と「極」に細分化できます。
「恐悦」の持つ意味
「恐」には、「びくびくする」「おじけづく」といった一般的に使われている意味のほかに、「おそれいる」「かしこまる」といった意味もあります。「恐縮」に使われる時の「恐」がそれです。「恐悦」の「恐」は後者の意味で使われています。
「悦」は「悦楽」や「恭悦」などといった言葉にも使用されているように、「ここちよい」「よろこぶ」といった意味の言葉です。「恐悦」単体で使用することがあり、恐れ入るほど喜んでいますという意味になります。
「至極」の持つ意味
では、「至極」はどのような意味を持つのでしょう。「至」も「極」も極限に達していることを表し、いずれの場合も行き着くところや到達点を表します。それ以上行き着くところがない状態を表す言葉を2つ重ねて、「この上なく…である」という強調を表す意味で使われます。
これまで見てきてわかるように、「恐悦至極」は、「悦」で表す喜びの状況を、「恐」と「至」「極」という3つの言葉で強調していることになります。
文学作品の中の「恐悦至極」
「恐悦至極」はかしこまった表現ですので、日常的な表現というよりも、比較的古い文学作品の中や書簡に見ることができます。その例を、実際の作品の中で見てみます。
いかがでしょうか。こうした文学作品などの中でも、会話中や対面状況を表現する際に使われていることがわかります。
「恐悦至極」の類義語
喜びや感謝の気持ちを伝える言葉としては、「望外の喜び」「無上の喜び」「有難き幸せ」などがあります。
身が縮み上がるほど恐れ多い気持ちの表現としては、「恐縮至極」「至極恐縮」といった言葉があります。
「恐縮です!」と「恐悦至極」の違い
「恐悦至極」と同じような意味を持つ言葉で、テレビリポーターの梨本勝さんが利用するの決まりぜりふに、「恐縮です!」があります。この言葉は、「恐悦至極」ほど改まった場でなくても使われますので、日常生活で耳にすることも少なくないでしょう。
ただ、恐悦至極と大きく異なるところは、何か依頼事などをする時の「申し訳ありませんが…」というような意味合いで使うこともありますので、注意が必要です。梨本さんの「恐縮です!」は、こうした文脈で使用しているとご理解ください。