「恐悦至極(きょうえつしごく)」とは?意味や使い方をご紹介

「恐悦至極」は、喜びと同時に、敬意を表す四字熟語です。謙譲の意を表す敬語表現の一種であり、現代ではなかなか使う機会が少なくなった表現ですから、慎重に使用する必要があります。今回は四字熟語の構成を分解しながら、「恐悦至極」の正しい意味と使い方を解説します。

目次

  1. 「恐悦至極」の意味
  2. 「恐悦至極」の語源
  3. 文学作品の中の「恐悦至極」
  4. 「恐悦至極」の類義語
  5. 「恐縮です!」と「恐悦至極」の違い

「恐悦至極」の意味

喜びや感謝の気持ちを伝えたり、身が縮み上がるほど恐れ多い気持を表したい際に用いる謙譲語のひとつで、「これ以上の嬉しいことはありません」「恐縮しております」といった思いを身分の上の人に対して表す言葉です。手紙(まれにメールなど)などで使われますが、対面でのお礼を述べる際にも使われることがあります。

「恐悦至極」の語源

「恐悦至極」の言葉の成り立ちを分解して理解することで、より微妙なニュアンスや使用に適した場面を判断することができます。「恐悦至極」は「恐悦」と「至極」という2つの言葉に分解することができます。さらに「恐悦」は「恐」と「悦」、「至極」は「至」と「極」に細分化できます。

「恐悦」の持つ意味

「恐」には、「びくびくする」「おじけづく」といった一般的に使われている意味のほかに、「おそれいる」「かしこまる」といった意味もあります。「恐縮」に使われる時の「恐」がそれです。「恐悦」の「恐」は後者の意味で使われています。

「悦」は「悦楽」や「恭悦」などといった言葉にも使用されているように、「ここちよい」「よろこぶ」といった意味の言葉です。「恐悦」単体で使用することがあり、恐れ入るほど喜んでいますという意味になります。

「至極」の持つ意味

では、「至極」はどのような意味を持つのでしょう。「至」も「極」も極限に達していることを表し、いずれの場合も行き着くところや到達点を表します。それ以上行き着くところがない状態を表す言葉を2つ重ねて、「この上なく…である」という強調を表す意味で使われます。

これまで見てきてわかるように、「恐悦至極」は、「悦」で表す喜びの状況を、「恐」と「至」「極」という3つの言葉で強調していることになります。

文学作品の中の「恐悦至極」

「恐悦至極」はかしこまった表現ですので、日常的な表現というよりも、比較的古い文学作品の中や書簡に見ることができます。その例を、実際の作品の中で見てみます。

夜中をもかえりみませず、お眼通りを願い出ました無礼、おとがめもなく、かくは直々じきじきお言葉をたまわり、ありがたきしあわせに存じまする。いつもながらごきげんうるわしく拝したてまつり、恐悦至極に存じまする。『丹下左膳』:林不忘

いかにも七代目海老蔵に御座います。久しくお目にかかりませぬが先生には相変らず御壮健恐悦至極に存じます。『散柳窓夕栄』:永井荷風

御機嫌の態を拝しまして恐悦至極と一同挨拶を述べたけれども、まともに主人の顔を正視した者は一人もなく、皆「はっ」と云ってお時儀してしまった。『武州公秘話』:谷崎潤一郎

いかがでしょうか。こうした文学作品などの中でも、会話中や対面状況を表現する際に使われていることがわかります。

「恐悦至極」の類義語

喜びや感謝の気持ちを伝える言葉としては、「望外の喜び」「無上の喜び」「有難き幸せ」などがあります。

身が縮み上がるほど恐れ多い気持ちの表現としては、「恐縮至極」「至極恐縮」といった言葉があります。

「恐縮です!」と「恐悦至極」の違い

「恐悦至極」と同じような意味を持つ言葉で、テレビリポーターの梨本勝さんが利用するの決まりぜりふに、「恐縮です!」があります。この言葉は、「恐悦至極」ほど改まった場でなくても使われますので、日常生活で耳にすることも少なくないでしょう。

ただ、恐悦至極と大きく異なるところは、何か依頼事などをする時の「申し訳ありませんが…」というような意味合いで使うこともありますので、注意が必要です。梨本さんの「恐縮です!」は、こうした文脈で使用しているとご理解ください。

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