「クーポン」の意味
「クーポン」という言葉は、英語から由来している外来語です。もともとは「切り取って使用する券」という意味ですが、日本語の「クーポン」は、大きく流通や広告関係の用語と、金融関係の用語の二つに分けられます。
1.流通・広告用語としての「クーポン」
流通・広告用語の「クーポン」は、使用目的が違う切符、チケットなどを一冊にまとめ、切り取り式にした「金券」のことです。旅行客が便利なように、電車などの乗車券、指定席券、劇場などの観覧券、ホテルなどの宿泊券を一つづりにまとめ、その都度切り取って使えるように旅行代理店が準備するものなどが知られています。
また何かの施設を利用する「回数券」や「商品引換券」など、複数枚が一つづりになっていて、切り離して使うものも「クーポン」だといえます。
このほか、最も身近なものとしては、商品の割引券やサービスなどの優待券が挙げられるでしょう。広告やチラシなどに付随していて、切り離してその店に持参すると、商品やサービスを割安に利用できるものです。これは「クーポン券」とも呼ばれます。
店側にとっては、クーポン券自体が「広告」の一種であり、顧客を誘致し、マーケティングや販売を促進する狙いがあります。米国ではこうした「クーポン付き広告」が非常に盛んなようです。
2.金融用語としての「クーポン」
金融用語で「クーポン」というと、「利札」のことを意味します。これは債券に付いている利子の支払い保証券のことです。債券とは、国や自治体、企業などが資金調達のために発行する証券で、いわば「お金の借用証」のようなものです。
他人から借金をした場合は、その元金に加え、手数料や謝礼の意味で利子を上乗せして返済するのが通例です。債券もこれと同じで、購入した人は一定期間後、発行者から利子を受け取ることができます。この利子部分が利札、すなわち「クーポン」です。
債券には利札が一緒に印刷されており、利払い日には一枚ずつ切り離して利子を支払ってもらうことから「クーポン」と呼ばれますが、現在では利子そのもののことを指すのが一般的です。また、債券の額面に対して何%の利子が払われるかを「クーポンレート」と呼びます。クーポンレートが多いほど、高い利回りの債券だといえます。
「クーポン」の語源
「クーポン」という外来語は、英語の「coupon」の読みをカタカナで表したものです。英語のcouponは、もとを辿るとフランス語で「切り取る」という意味の「couper」から由来しているとされます。
フランス語の名詞「coupon」は、そもそもは「切り取られた一片」や「布の切れ端」といった意味があり、これが「切り取って使うチケット」と通じることから、切り離し式の券のことをこう呼ぶようになったようです。
「クーポン」の例文
- 広告のクーポンを集めるのはいいけど、使うときには期限切れになっていないか注意してね。
- 最近はスマホの歩数計と連動して、歩数に応じてクーポンに交換してくれる「歩く割」というサービスもあるそうだ。
- ちりも積もれば山だからね。額は少なくても、割引クーポンを使わない手はないよ。
「クーポン」の英語表現
「クーポン」は英語由来ですので、英語表現ではそのまま「a coupon」や、「a coupon ticket」(クーポン券)、「a discount coupon」(割引クーポン)などとなります。「クーポン」の類語には「a voucher」という言葉もあり、「travel vouchers」(旅行クーポン券)といった言い方もあります。
クーポンの関連表現は以下の通りです。
- calender with coupons (クーポン付きカレンダー)
- a coupon printed in an advertisement (広告に印刷されたクーポン)
「クーポン」のまとめ
かつてクーポン券といえば、新聞の折り込み広告や、街角で配布しているフリーペーパーなどから切り取って使っていたものですが、今は主役はスマホアプリ。お店や会社ごとのクーポンアプリはもちろん、「総合クーポンアプリ」というのもあり、いかにお客にアピールするか、企業の知恵の見せ所になっているようです。