「ミラクル」とは?
「ミラクル」の基本的な意味は「奇跡」ですが、その内容は、大きく三つに分かれています。
- 神の働きによって起こる、超自然的な現象。
- 常識では理解できず、人の力では起こり得ないような不思議な現象。
- 奇跡的と言えるような、素晴らしい偉業。
神の働きによる「ミラクル」の意味と使い方
「ミラクル」は、もともとの英語のmiracleの意味が、おもにイエス・キリストが表した神的奇跡のことを指すように、「神の働き」を背景とする言葉です。
古今東西、神・宗教と「ミラクル」は密接な関係にあります。モーゼ、イエス、モハメッド、ブッダ、クリシュナなどの始祖たちは、すべからく、神の化身や神の申し子として、人知を超えた神通力を示すことによって、人間にその存在の真価を気づかせ、真理へと導くよすがとしてきたからです。
神道や仏教においては、そのような神通力、奇跡のことを「霊験(れいげん)」と称します。下記にて、イエスの奇跡を中心に、いくつかの宗教における「ミラクル」を挙げてみましょう。
イエスの「ミラクル」
- 聖母マリアの処女懐胎:イエスの母・マリアは、夫ヨセフと交わりのない処女のまま、イエスを受胎した。
- イエス初の奇跡:ガリラヤのカナでの婚礼に招かれたイエスは、水がめの中の水を葡萄酒に変えた。
- パンと魚の奇跡:イエスは、五つのパンと二匹の魚の数を増やし、五千人の人々の食を賄った。
- 湖を歩く奇跡:ガリラヤ湖で、弟子たちが舟を漕ぎあぐねているのを観たイエスは、湖上を歩いて弟子たちに近づいた。
- イエスの死と復活:磔刑により死んだイエスは、のちに復活した。信じない弟子には、自ら釘打たれた手や傷ある脇腹を見せた。
その他の宗教における「ミラクル」
- ユダヤ教:モーゼが、エジプトで奴隷となっていたヘブライ人たちを率いてエジプトを脱出した際、手をあげると海が割れ、道ができた。ヘブライ人が渡り切ったとき、海は元に戻り、追っ手のエジプト人たちは溺れ死んだ。
- イスラム教:預言者モハメッドは、アラーの神からの招待によって、空、宇宙をこえ、アラーの御前まで、一夜にして昇天(ミウラージュ)の旅をした。
- 仏教:成仏後の釈迦は、ガンジス川で船頭が金銭を要求したため、歩いて川を渡った。
- ヒンドゥ教:クリシュナ神は、主としての姿を見たいと懇願するアルジュナの願いを聞き入れ、彼に天眼を授け、神聖かつ多様な真の姿を顕現させた。
使い方
(A男)
神が起こすという「ミラクル」は、海を二つに割ったり、死者を蘇らせたり、凄まじい神通力だね。
もし目の当たりにしたら、無神論者の僕でも、ひれ伏してしまうかもしれない。
不思議な現象としての「ミラクル」の意味と使い方
現代に生きる人々が用いる「ミラクル」という言葉は、一般的には、神や宗教とは離れた、いわゆる「不思議な現象」としてのミラクルです。
(B子)
うちの街では、ひまわり公園のあるベンチに座ったカップルは結婚するという噂があるの。
都市伝説っぽいけど、私のまわりでこのベンチに座った六組はみんなゴールインしたの。
やっぱりミラクルよね。
偉業としての「ミラクル」の意味と使い方
起こりうるとしても、確率は「奇跡的」というような偉業を達成した場合に「ミラクル」と表現されることがあります。わけても、スポーツやゲームなどの技などに頻繁に使われます。
(C男)
昨日の日米のサッカーの試合は、ミラクル・シュートの応酬ですごい迫力だったね。
「ミラクル」まとめ
「ミラクル」は、神通力がその源となる言葉だけに、どのような場合でも、ポジティブな意味を含んでいます。閉塞感ある現代社会に、希望を感じさせてくれる「ミラクル」が多々起こってほしいものです。