「インフェルノ」とは?
インフェルノは、英語では "Inferno" と書きます。猛火、灼熱、地獄、地獄のような場所といった意味があり、堅い文章や文学作品で使用されるようなちょっと堅い言葉です。
もともとはラテン語の "infernus" に由来することばで、ラテン語にルーツをもつイタリア語(英語のInferno はイタリア語のそれに由来しています)やポルトガル語では、英語の "inferno"(インフェルノ)と全く同じつづりと同じ意味で使います。
「インフェルノ」の使い方
英語でも日本語でも、"Inferno(インフェルノ)" ということばは、主に文学や芸術、宗教的な記述などに使われます。
英語では、地獄を表すことばとして "Inferno" と "Hell" があり、日常会話では
"Hell" がよく使われます。"Go to hell!"(くたばれ!うせろ!)のようなののしりことばや、" I studied like hell for the exams." (試験に備えて必死に勉強した)のように必死さや猛烈さをアピールするためにも使われます。ですが、これらの場合 "hell" の代わりに "inferno" を使うことはありません。
日本語では、戦国時代のカトリック伝来の頃をモチーフにしたキリスト教文学作品で「いんへるの」ということばがよくでてきます。これが「インフェルノ(地獄)」の当時の和訳でした。
また近代文学では、芥川龍之介が多数の「切支丹物」と呼ばれる文学作品を残しており、これらの中で「インヘルノ」ということばを使用しています。これも「インフェルノ」とおなじことばです。
文学や芸術としての「インフェルノ」
以上のことから、みなさんがこの言葉をきいたことがあるとすれば、主に文学や芸術の分野であると思われます。古来から、インフェルノ(地獄)は、人間の想像力をかきたてる魅力的なテーマでもありました。その中からいくつかを紹介します。
ダンテ 地獄篇(Inferno)
13世紀から14世紀にかけてイタリアで詩人、政治家として活躍したダンテ・アリギエーリの代表作である、長編叙事詩「神曲(La Divina Commedia)」を構成する3部作の一つ。3部作は「地獄篇(Inferno)」「煉獄篇(Purgatorio)」「天国篇(Paradiso)」から構成されています。
地獄篇は、人生の半ばにして暗い森に迷い込んだ(作者であり主人公である)ダンテが地獄に入った様子が描かれています。この地獄界での出来事には、ダンテ自身の政治家としての人生の苦難が色濃く反映されているといわれています。また全編を通して聖書や哲学、倫理学、自然科学、文学、測量学、ギリシャ神話、ローマ神話などのさまざまな書物を引用しており、幻想文学の代表作ともされ、現代のSFやファンタジー作品の源流ともいわれています。
インフェルノ(2016年公開映画)
ダン・ブラウン原作、ロン・ハワード監督、デヴィッド・コープ脚本、トム・ハンクス主演のアメリカ映画です。「ダ・ヴィンチ・コード」「天使と悪魔」の続編で、上記のダンテ「神曲」に着想を得たミステリスリラー映画です。
世界が灼熱地獄と化す幻影に悩まされていたハーバード大学教授のロバート・ラングドン(トム・ハンクス)が、彼の担当医であるシエナ・ブルックス(フェリシティ・ジョーンズ)とともに、ダンテや彼の代表作の1つである「地獄篇(Inferno)」をモチーフにした事件に巻き込まれていくストーリーです。
「インフェルノ」まとめ
「インフェルノ」という言葉は、単なる死後の世界ではなく、聖書やヨーロッパ神話に色濃く影響された重厚な死生観を表すことばだといえるでしょう。ダンテの「神曲」は、日本語でも多数の翻訳が出版されていますが、絵画でもその世界を楽しむことができます。誰も「インフェルノ」を実際に体験したくはないと思いますが、ぜひ文学や絵画を通して体験してみてください。