「清濁併せ呑む」とは
「清濁併せ呑む」の意味
「清濁併せ呑む(せいだくあわせのむ)」とは、「善人も悪人も分け隔(へだ)てることなく、広い心で受け入れる」という意味のことわざです。「清濁」は、「正と邪」「善人と悪人」「賢者と愚者」のたとえです。
「清流でも濁流でも、大海はすべてを迎え入れる」という様子が由来です。どのような川の流れでも、最終的には海にたどり着きます。海は、何かを区別したり拒んだりすることはないでしょう。
このような、「海はすべてを飲み込む」という様子が転じて、「清濁併せ呑む」は人間の「心の広さ」を表すようになりました。
正しくは「併せ呑む」ですが、「併せ持つ」と間違えないように注意しましょう。大きな海が何もかもを持っているのではなく、飲み込んでいるのだとイメージすると良いかもしれません。
四字熟語
「清濁併せ呑む」は、「清濁併呑(せいだくへいどん)」という四字熟語に言い換えることもできます。意味は同じです。一般的には、「清濁併せ呑む」という表現を使うことが多いです。
「清濁併せ呑む」の例文と使い方
正しい使い方
- 彼はいつもみんなの意見を尊重する。まさに清濁併せ呑む人物だ。
- 政治家に必要なのは、清濁併せ呑むような度量の広さだ。
- 清濁併せ呑むように、どんな人の気持ちも受け止められるようになりたい。
このように、「清濁併せ呑む」はその人の心が広いことを表しています。様々な価値観を受け入れる素質が必要とされる、人の上に立つ人物に使われることが多いです。
誤った使い方
- 彼は学校では立派な教師だが、友人には借金ばかりしている。清濁併せ呑むとはこのことだ。
- 彼女は清濁併せ呑むように、慈善活動もするが万引きもする。
このように、「清濁併せ呑む」を使って「善悪両方の面を持っている」ということを表すのは誤りです。あくまでも、自分ではなく「他人の善悪を受け入れ許す」という意味で使います。
また、「清酒(米を原料とする澄んだ酒)」と「濁り酒(こしていない白濁した酒)」どちらも好んで飲む、という意味で使われることもありますが、こちらも誤りです。「呑」は「吞兵衛(のんべえ)」など、お酒好きを表す言葉に使われるので、勘違いしやすいのかもしれません。
「清濁併せ呑む」の類語
「清濁併せ呑む」は、日常生活ではあまり使わない言葉かもしれません。ここでは、皆さんもよく耳にするような「清濁併せ呑む」と似た意味の言葉をご紹介します。
- 来るもの拒まず(きたるものこばまず)
- 寛容
- おおらか
「清濁併せ呑む」ような人
「清濁併せ呑む」ようになるには、何が必要なのでしょうか。なかなか難しいことかもしれませが、私たちも実践できるような小さなことをいくつかご紹介します。
- 人の話を聴く
- 決めつけない
- 自分を知る