「仇」とは?意味や使い方をご紹介

「仇(あだ・かたき)」とは「商売仇(しょうばいがたき)」などの「仇」のことですが、意外にもさまざまな変化を経験してきた言葉でもあります。また、現代では「恩を仇で返す」などの慣用句でなじみが深い言葉です。それでは「仇」の詳しい意味や使い方を解説していきます。

目次

  1. 「仇」とは
  2. 漢字「仇」の成り立ち
  3. 「徒」と混同しつつ…
  4. 「仇」の慣用句と用例
  5. モンストで「仇」?

「仇」とは

「仇」には「あだ」「かたき」の二通りの読み方があります。現在では両者の差を意識することはありませんが、本来は「あだ」と「かたき」の間にははっきりと区別がありました。
 

  • あだ=自分に害があり、恨みのある相手・仕返しをするべき相手を指す
  • かたき=善悪に関わらず、対等にわたり合う相手・競争や戦いの相手を指す

とはいえ、最近の辞書を見ると「仇(あだ)」の意味には「かたき」と記載されているくらいですから、両者を無理に区別する必要はないでしょう。

また、「あだ」は古くは「あた」で、漢字では「仇・敵・賊・寇」が当てられていました。濁点がついた「あだ」が一般に使われるようになったのは、江戸時代後期あたりからであろうと言われています(理由は後述します)。意味的にも「悪いこと・害となること」が加わり、現在の使い方になりました。ただし、「かたき」にはこの意味は含まれていないので注意しましょう。

漢字「仇」の成り立ち

「仇」は人を意味する「人偏」+相手を意味する「九」で成り立っています。ですから、元々の意味するところは「相手の人・つれあい」でした。転じて現在の「仇」の意味となったようです。

「徒」と混同しつつ…

「仇」と「徒」、現在ではいずれも「あだ」と読みます。「徒」は表面だけで実のないさまを表し、「徒花(あだばな)」などと使います。「仇(古い読みのあた)」とは意味はだいぶ違いますが、音が似ていただけでなく、ほかにも混同されやすい要素がありました。
 

  • 似た言い回しがある:「徒となるー仇となる」「徒に結ぶー仇を結ぶ」「徒の情けー仇は情け」
  • 意味からのつながり:「仇となる」行為は結局「ムダに終わる(=徒となる)」ことになる

こうしたことから、意味の混交が起こり、本来「あた」だったものが「あだ」となるきっかけになったと言われています。

「仇」の慣用句と用例

「仇」を含む慣用句は、意外に多数あります。よく使われるものを中心に、いくつか紹介します。ただ、読みが「かたき」となると「目の敵」のように「敵」を使うケースが多いので、気を付けたいところです。

恩を仇(あだ)で返す

相手の恩義に報いるどころか、逆に害になるようなことをするという意味です。「恩を仇で報ずる」「恩を仇をもって報ずる」と言っても同じ意味になります。類する表現には「後ろ足で砂をかける」があります。

たとえば「あれだけ便宜を図ってもらいながら他社と契約するなんて、恩を仇で返すようなものだ」のように使います。

仇(あだ)を恩で報ずる

「恩を仇で返す」と混同されやすいですが、こちらは恨みのあるものに対し、かえって情けをかけるということになります。(「恩」を「徳」とする場合、「報ずる」を「返す」とする場合があります。)

使い方は「たとえ自分からレギュラーを奪ったやつだとしても、仇を恩で報ずるという言葉もあるし、ケガで痛がっているのなら肩を貸してあげよう」といった感じです。

恩が仇(あだ)

これも言い回しが似ていますが、意味は相手のためを思ってしたことが、かえって悪い結果となってしまうことです。

後悔の気持ちをこめて「困っているから助けてあげようと思ってお金を貸したんだけど、かえってギャンブルにはまってしまうなんて、恩が仇となったな」のように使います。

仇(あだ)も情けも我が身より出る

人から憎まれるのも愛されるのも、自分の心がけや行い次第であるということです。「迷いの原因となる執着を捨てる=唯だ揀択(けんじゃく)を嫌う」という禅の教えと、どこか通じるものがありそうです。

たとえば「皮肉ばかり言って、無暗に人を刺激するのもどうかと思うよ。仇も情けも我が身より出ると言うじゃないか」という感じで使うとよいでしょう。

モンストで「仇」?

ゲームアプリのモンスターストライクを熱心に楽しんでおられる方は、すでにご承知かもしれません。モンストにも「仇」が関係していました。アニメ「銀魂」とのコラボで、「万事を護る者たち」のすべてのステージをクリアすると、超究極クエスト「仇(かたき)」への挑戦が可能になるというものです。ただし、超究極と言う通り、難易度も“超究極”で、ネットでは「攻略できずに心が折れた」「モンスト引退する」の声がある一方、攻略法や体験記で盛り上がりを見せました。


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