「立て板に水」とは
「立て板に水」とは、「よどみなくすらすらと話すこと」という意味の比喩表現です。「立て板」は、立てかけてある板のことです。板に水をかけると、当然ですがそのまま流れていきます。
そのすらすらと流れる様子を、弁舌(べんぜつ:物の言い方・話しぶり)にたとえているのです。口下手な人からすると、「立て板に水」のように話せるのは尊敬してしまうかもしれませんね。
「立て板に水」の使い方
「立て板に水」は、「あなたの話は上辺だけで中身がないよね」というような、「無意味なこと」を表すと誤解されがちです。しかし、「立て板に水」はあくまで「その人の話しぶり」を表す言葉です。例文を通して正しい使い方をご紹介します。
- 彼女はいつも無口だが、漫画のこととなると立て板に水のように話し出す。
- 実演販売の店員さんは、立て板に水のごとく商品の紹介をする。
- 私は話すのが苦手なので、彼の立て板に水のような話し方は憧れる。
このように、つかえることなく次々と言葉を発しているのがわかります。もし皆さんが「立て板に水のようだね」と人に言われたら、「すらすらと話せてすごい」という尊敬の気持ちが表れているのです。決してけなされているわけではありません。
「立て板に水」の関連語
類義語
- 竹に油を塗る
- 懸河の弁(けんがのべん)
- 一瀉千里(いっしゃせんり)
反対語
- 横板に雨垂れ(よこいたにあまだれ)
また、つかえながら話すという意味の言葉は、以下のようなものもあります。
- たどたどしい(なめらかでなく、ぎこちないこと)
- 歯切れの悪い(発音や話し方の調子が悪いこと)
話し方を表す言葉
話し方は人それぞれ違います。また、場面によって使い分けることもあるでしょう。話し方を表すことわざをご紹介します。
- 口角泡を飛ばす(こうかくあわをとばす)
- 歯に衣着せぬ(はにきぬきせぬ)
- 鸚鵡(おうむ)返し
- 竹屋の火事
「立て板に水」のまとめ
「話し方」についての表現は数えきれないほどあります。それだけ、生きていく上で「話す」というコミュニケーションが重視されている、ということかもしれません。
言いにくいことを言う時は「立て板に水」のように言葉は出てきません。むしろ、「横板に雨垂れ」のようにぽつぽつと話した方が、誠実さが伝わる場合もあるのではないでしょうか。場面によって「話し方」を変えられるのが、本当の話し上手ということなのかもしれませんね。